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大会ベストGK選出の1年生守護神・阿部航斗「筑波大を選んでよかった」

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どんなに点差が開いても最後まで声を張り続けたGK阿部

[12.18 全日本大学サッカー選手権(インカレ)決勝 日体大0-8筑波大 駒場]

 先輩たちと勝ち取った日本一のタイトル。筑波大のGK阿部航斗(1年=新潟U-18)は「優勝したことよりも、それ以上の結果だったり、ここまでの内容が本当にいい経験だったので。筑波大を選んでよかったなと思います」と笑顔をみせた。

 今春に新潟U-18から筑波大へ進学。関東大学リーグの開幕戦からベンチ入りを果たしたが、ピッチへ立つことは叶わないままに前期リーグを終えた。7月1日に行われた総理大臣杯予選・アミノバイタル杯4回戦の関東学院大戦(4-2)に先発するも、総理大臣杯本選では出番はないままチームは敗退。それでも天皇杯茨城県予選決勝・流通経済大戦(0-0・PK6-5)で先発し、天皇杯1回戦・札幌戦にも先発。0-3で敗れたが、Jクラブ相手に大きな経験を積んだ。そして、後期リーグ開幕戦で待望の大学リーグデビュー。後期は11試合中10試合でゴールマウスを守った。

 そして迎えた全日本大学選手権(インカレ)。阿部は初戦の2回戦から決勝までの全4試合で先発出場。先輩たちを前に臆することなく、大きく声を張り上げて、チームを鼓舞した。静かなスタンドに阿部の声が響き渡るシーンは幾度もあった。185cm、80kgの守護神はルーキーらしからぬ威圧感を持って、筑波大の最後の砦として立ちはだかっていた。

 決勝の日本体育大戦。序盤こそ押し込まれていた筑波大だが、その後はカウンターから決定機の連続。相手のチャンスは数えるほどだった。それでも1年生GKは大量リードにも気を緩めず。最初から最後のホイッスルが鳴る瞬間まで同じモチベーションで戦い抜いた。後半14分にはMF川戸大樹(4年=神戸U-18)と1対1となるシーンもあったが冷静に左手一本でストップ。8-0の完封勝利に貢献した。

 ルーキーは「スコア的にはここまでになるとは思っていなくて、接戦になって、自分にも出番というか止めるプレーがくると思っていたのですが、フィールドの選手たちがいつも以上のプレーをしてくれたので、こういう結果になって本当に嬉しい」と振り返る。

「こういう大舞台も去年のユースのときには、あまり経験できなかったので。本当にいい相手を前にしながら、ゼロで終えられたのは良かったです」

 大会後にはベストGKの個人賞も発表され、阿部が選出された。それでも気を緩めないGKは「そこまで自分のなかでは自分のパフォーマンスは良くなかったので。たまたま優勝して、1失点に抑えたGKというだけだったので……自分がいいプレーをしたというよりも、チームメイトや最終ラインの選手たちが1失点に抑えてくれたので。賞をいただくのはもったいないかなと思います」と謙虚に語る。

 日本一に立ったものの、まだまだ満足していない様子。「今年は関東リーグでは2位で優勝を逃しましたし、総理大臣杯も2回戦で負けてしまったので、取れるタイトルは全て取るという気持ちで臨みたいと思います」と言い切った。ルーキーイヤーでまずは全国一冠。ここから“強い筑波”の一員として、数々のタイトルを手にしていくつもりでいる。

(取材・文 片岡涼)
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