[12.18 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 浦和ユース 1-0 長崎総合科学大附高 広島広域公園第一球技場]

　絶対に負けない。もしも負けたら、雪辱するのみ。倒して、また強い相手に挑戦する。そして、勝つ。2年生CBは自身がそうできなければ、目標とするステージに到達しないことを自覚している。

　浦和レッズユースが1-0で勝ち、17年のプレミアリーグ昇格決定。PAで長崎総合科学大附高の猛攻を跳ね返し続けた守備陣、そのセカンドボールを拾い、カウンターに繋げた中盤や前線の選手全員で掴んだ白星だった。相手の迫力は普段なかなか感じられないようなレベルであり、ただ一人が折れていても成り立たなかったであろう激闘の末の1勝。この展開の中、一際目立っていたのがU-19日本代表CB橋岡大樹だった。

　空中戦では背番号40のヘッドが何度も相手の頭上から繰り出された。時にはクリアが甘くなることもあった。それでも怯まずに跳躍し続けていたCBは気迫溢れるヘッドで制空権を支配し、こぼれ球にも誰より速く反応して前方へ蹴り出した。この日はアウェーの白いユニフォームをまとった“魂のストッパー“。特に長崎総科大附のエースストライカー、FW安藤瑞季に対してはその力を認め、全身全霊で抑えにかかっていた。パワフルな突破で穴を開けようとしてきた注目FWを真っ向勝負で封じ込む。本人も認めたとおり、苦戦するシーンもあった。それでも橋岡は局面局面で安藤を上回り、決定的な仕事を最後までさせずにシュート1本に封じ込んだ。

「(安藤については)僕的にはやったことなくて、一緒にプレーしたこともなくて、初めて見る相手で最初は意識していなかったんですけど、やっていく中で凄くいい選手で僕も苦戦して……。でも負けているとは思わないんで、自分は。ここまでできたことは嬉しいですし、そのような選手が来年出てきても、ボクは負けないようにやっていかないといけないというのは自分の中であるので。それが、『ボクの使命』だと思う」

　どんなに強力なFWが相手でも、その選手に勝たなければならない。やられたら、次までに成長して必ず次回、仕留める。それが2世代上のU-19日本代表に選出され、またJを代表する強豪・浦和への昇格、活躍を目指す自分の「使命」。「(監督の)大槻さんにも言われたんですけど、この年代では当たり前にやっていかないといけない。この年代では当たり前に負けちゃいけないし、当たり前にできていかないといけないと言われている。Jリーグは本当にレベル高いし、レッズに入って行くならば、ここで負けないようにしないといけないし、もし負けても次は絶対に負けないという気持ちでやっていきたい」

　橋岡は中学1年生の頃から上級生のチームに入ってプレーしてきた。中学3年時には2、3世代年上のユースチームに加わり、先発DFも務めてきた。壁に当たることがあっても、その度に必死に乗り越えてきた。この日、引退する3年生たちとの最後の公式戦で勝利し、「中1の頃から2年生(の世代のチーム)に上がったりして、この3年生とやることが多かったけれど、最初の頃から今の3年生が本当に優しくしてくれた。プレミアに上がるという形で終われて本当に3年生に感謝したいし、今までありがとうと伝えたいです」と語った橋岡だが、今後は最上級生として「信頼している」ユースチームの同級生、後輩を引っ張る立場、また機が訪れた際にはユースチームを離れてトップチームの選手たちと競争する日々となる。

「(これまで)負けていたこともあるかもしれないですけど、それをバネにして次、絶対に勝つと思ってやってきた。来年も、これから先もずっとその気持ちでやっていきたい」

　どんな強敵が現れても、この日のように封じられる選手へ。トップチームでの日々も経験し、とにかく吸収するためにがむしゃらだった今年以上の気持ちを持って来年以降も挑戦し続ける。

(取材・文　吉田太郎)

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