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ユース取材陣注目の“選手権ブレイク候補”vol.3_MF池平直樹(岡山学芸館高)「言葉感じられるパスさばき」

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岡山学芸館高MF池平直樹(左)

 試合開始から間もなくして、岡山学芸館高の2年生MF池平直樹のプレーに視線を奪われた。ポン、ポンと小気味よくボールを離し、ボールを通じて会話するかのようにパスにメッセージが込められる。「前を向け」「左から来てるぞ」。そんな言葉が感じられるパスさばきは「ちょっと遠藤保仁っぽいよね」。試合中にそんな会話をしていたのだが、当の本人も目標にしている選手を問われると「遠藤さんのプレーが好き。ピッチ全体を観ることができている」と笑顔で語ってくれた。好きこそものの上手なれではないが、遠藤のプレーをじっくり観察していることは、確実にプレーにも反映されているようだ。

 12月16日、高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦。1回戦で岡山学芸館が対峙したのは、九州のチャンピオンである長崎総合科学大附高。圧倒的なパワーとスピードでゴールへ直線的に迫るスタイルを持つ相手に対し、後ろを3バックにして守りを厚くしながら、池平を軸にしたパスワークで相手のプレッシャーをいなして試合を運ぶ。ゲームプランは明確に感じ取れた。開始早々に池平の落ち着き払ったPKから先制点を奪うと、19分には「気持ちで思い切って打った」という池平の“スーペル・ゴラッソ”がネットを揺らす。「あれは相手を褒めるしかない」とU-17日本代表FW安藤瑞希が苦笑するしかなかった一発は、九州王者のエンジンに火を入れるには十分すぎる効果があった。

 スコアとしてはそこから大逆転を食らって2-5の大敗で、池平も試合の流れの中に埋没していった部分はある。ただ「小学生のときからずっとやっていたので」と語る両足のキック精度や遠くの味方を見ての展開力など、ボランチとしての力は確かに見せ付けてくれた。高原良明監督は「視野が広いし、正確に長いパスを両足で蹴れるのが彼の特長」とした上で、一番の特長として「判断を蹴る直前でも変えられること」を挙げた。

 高校選手権ではいきなり強豪・山梨学院高との対戦になる。パワフルなFWを使ってロングボールで押し込んでくるスタイルの相手に対して、どこまでボールを落ち着かせて戦うことができるか。2年生ボランチの出来は、チーム浮沈のカギを握ることとなる。

(取材・文 川端暁彦)
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