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[MOM1994]長崎総合科学大附FW右田翔(3年)_5kgの重りを持った走り込みで鍛え抜かれた“右の超特急”

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先制点を決めたFW右田翔(3年)が雄叫びをあげる

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 桐光学園高0-2長崎総合科学大附高 等々力]

 163cmの小柄なアタッカーがゴール目がけて突進した。前半7分、中盤の競り合いからこぼれ球を拾ったFW宇高魁人(3年)が素早くスルーパス。ゴール前に走り込んだFW右田翔(3年)がGK茂木秀(3年=C大阪内定)と1対1の絶好機を迎えた。

 ゴールを守るのはプロ入りが決まっている195cmの長身GK。しかし、そのプレッシャーに屈することなく、冷静に右足でゴール左隅に流し込んだ。「1対1だったので、流し込むだけだった。普段からシュート練習をしているので、自信を持って蹴った」。立ち上がりの先制点でリズムをつかむと、その後も迫力あるカウンターで桐光ゴールを脅かした。

「カウンターが効いていた。1年間やってきたカウンターは武器だなと思ったし、手応えはあった」。後半11分、MF薬真寺孝弥主将(3年)のマイナスのパスに合わせたシュートはGKの正面を突き、自身2点目とはならなかったが、後半29分に左サイドでFW安藤瑞季(2年)につなぎ、その横パスを受けた薬真寺が右足で追加点を奪った。

 右サイドから果敢に仕掛けた“右の超特急”は後半38分に交代するまで全速力でピッチを走り抜けた。普段の走り込みの賜物だ。長崎総科大附には、週に一度ずつ短距離と長距離の“走り”のメニューがあるという。短距離走は5kgのボールを持って50m30本と100mが20~30本。長距離走は1kmを3分30秒以内に6~8本。過酷なトレーニングにも右田は「試合終盤の疲れたときとか、体が重い中でも走れるようになった」と、その成果を実感している。

 昨年9月、小嶺忠敏氏が長崎総科大附の総監督から監督に就任。「頂点を狙いに行っているんだなと思った」と受け止めた右田は「全力で指導してくれるし、それに応えないといけない」と、小嶺監督のためにも勝ち進みたいとの思いを強めている。

 普段のミーティングでは小嶺監督が国見時代に指導した教え子たちの話をよく聞くという。「松橋章太さんや大久保嘉人さん、平山相太さんが試合から帰ってきてもグラウンドでボールを蹴っていたり、三浦淳宏さんが試合の日に他の選手より1時間早く来てボールを蹴っていたという話も聞いた」。右田自身、小嶺監督の教え子である“先輩たち”に触発されたように、この日は午前7時前から「薬真寺と僕と宇高と山本(大樹)の4人で40分ぐらいボールを蹴っていた」と、宿舎近くのグラウンドで“早朝練習”をしてきたという。

「初めての選手権で緊張した。どんどん仕掛けて、この舞台に慣れていきたい。自分のプレーはできたけど、まだまだやれると思う」。来年1月2日の2回戦・鹿児島城西戦に視線を向ける右田。長崎総科大附が誇る攻撃陣の本領発揮は、まだまだこれからかもしれない。

(取材・文 西山紘平)

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