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[MOM1997]尚志DF常盤悠(3年)_超高校級のキック精度誇る!

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DF常盤悠(3年)の正確無比なキックが勝利を導いた

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 尚志高4-2ルーテル学院高 駒沢]

 逆転を許した後、再び追いつき追い越した尚志高(福島)勝利の立役者は右SBのDF常盤悠(3年)だ。1-2で迎えた後半5分の同点弾、そして後半23分の逆転弾はともに右のCKから。キッカーを務めた常盤の正確無比なキックがゴールを導いたといっていい。

 ルーテル学院高(熊本)の小野秀二郎監督をして「キッカーの質が非常によかった」と言わしめたキックは、この冬の尚志の新たな武器でもあるようだ。「常盤はこの冬の遠征でよく練習していました。うちはセットプレーが弱い。予選でもCKから1点も取っていないので、遠征で徹底してやり切りました。いろんなことをやることで相手を動揺させられれば」という尚志・仲村浩二監督の狙いもズバリ的中。常盤本人も「いつも練習していたので長所が出た」と満足顔だ。

 得意なのはストレートの弾道。「ニアをしっかり越えてDFの頭ギリギリに蹴る。ストレートならGKも出られないので」とその狙いは明確だ。

 もともと「DFだけれども攻撃も見てほしい」という気持ちを抱いている。さらに、昨年も出場した選手権で「何もできず悔しく情けない思いをした」という経験も糧にしている。仲村監督にもその気持ちは伝わっていた。「昨年何もできなかった印象があったみたいで今年にかける思いは強いです。キックの精度に磨きがかかりました。逆サイドにピンポイントで蹴られるあのキックは高校生レベルではない。我々も期待しています」と全幅の信頼を寄せる。

 自身は前年度の選手権でなにもできなかった理由を「コンディショニング」と分析している。キックの精度を高めるために、練習後も20分で何本、と決めて集中的に行ってきた。試合前にはトニ・クロース(R・マドリー)のキックの動画を見る。だが、そんなプレー面と同時に生活面も改善してきた。睡眠時間に気を使いサプリメント摂取など日頃から体調管理を行うことで、快速ぶりがコンスタントに試合で発揮できるように。「持ち味はキックの精度とオーバーラップ」というように、この試合でもキックだけでなくオーバーラップから内に切り込んでのシュートなど、随所に長所を見せつけた。

 神奈川県出身だが、2011年度の尚志が選手権でベスト4に輝いたプレーをテレビで見て「自分もこういうチームに入って全国制覇がしたい」と思った。「寮生活では洗濯など、自分のことは全て自分で行う。自立できました」。昨年の選手権での経験を含め、高校に入ってから成長した部分は少なくないようだ。あとは目標に向かって邁進するのみ。最後の選手権で尚志入学当初に抱いた「全国制覇」の夢を実現すべく、まずインパクトという楔は打ち込まれた。

(取材・文 伊藤亮)
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