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仕掛け続けた“その先に”…「真っ向勝負」挑んだ聖和学園が初出場・海星撃破

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苦しみながらも初戦突破を決めた聖和学園高(宮城)

[12.31 全国高校選手権1回戦 聖和学園2-0海星 駒場]

 第95回全国高校サッカー選手権1回戦が各地で行われ、埼玉・浦和駒場スタジアムの第1試合では3年連続4回目の出場となる聖和学園高(宮城)と初出場の海星高(三重)が対戦。前半をスコアレスで折り返した試合は、後半35分に先制した聖和学園が、同38分に追加点を奪って2-0の完封勝利を収めた。初戦を突破した聖和学園は、1月2日の2回戦で徳島市立高(徳島)と対戦する。

 序盤から両チームともにシュートまで持ち込む場面を作り出した。まずは前半4分に海星がゴールを脅かす。FW三輪翔真(2年)が蹴り出したCKのこぼれ球に反応したMF伊藤蓮(3年)、MF桜井天海(2年)が立て続けにシュートを放つが相手選手にブロックされてしまう。一方の聖和学園は同7分、MF原科勇我(3年)の浮き球のスルーパスからPA内に進入したFW大八木隆斗(3年)が狙うも、ボールはゴール左に外れてしまった。

 選手個々の技術が高く、ドリブルで果敢に攻め込もうとする聖和学園だが、海星が激しく体を寄せて簡単には突破を許さない。海星の青柳隆監督が「聖和は一人ひとりがうまく、1対1では絶対に勝てないので数人で行こうという守り。そこで奪ってショートカウンターを狙った」と語ったように、ボールを奪えば2トップのFW水谷恭平(3年)と三輪に素早く預けて、聖和学園ゴールを脅かす。前半29分にはMF上陰統己(3年)とのパス交換から抜け出した三輪が、同39分には右サイドを突破した上陰のグラウンダーのクロスから水谷が決定機を迎えたが、三輪のシュートはDF小倉滉太(3年)にブロックされ、水谷のシュートはGK吉田龍生(3年)に阻まれてしまった。

 前半は海星の守備に苦しめられ、シュート2本に抑えられた聖和学園だが、「相手の中盤のプレスも厳しかったけど、逃げていたら勝負にならない。逃げるなと言ったし、真っ向勝負を挑んだ」と加見成司監督が檄を飛ばしたように、後半も自慢のドリブルで相手守備網を切り裂こうとし続ける。すると、後半5分にMF鈴木雅典(3年)、同8分にはMF藤井僚哉(3年)のパスから、ともにDF瀧雄大(3年)が右サイドからPA内に進入してシュートを放つなど攻勢を強めていく。

 そして、序盤から仕掛け続けたドリブルが奏功する。幾度となく相手の体を張った守備に止められていたものの、「あれだけのうまいドリブルについていくのは大変だったと思う」(青柳監督)と海星の体力を徐々に奪っていく。すると、「相手も来れなくなってきている部分もあったので、ここがチャンスだと思った」(加見監督)と、聖和学園は後半13分に鈴木雅に代えてFW西堀駿太(3年)、同22分にはMF鈴木智久に代えてMF小原基樹(3年)を投入して勝負を懸ける。

 その後もゴールを脅かしながらも、なかなかスコアを動かせなかったが、後半35分に聖和学園がついにゴールをこじ開ける。左サイドの大八木からボールを受けた藤井が、寄せてくる相手をかわしてコースを生み出すと、右足の鮮やかなシュートでネットを揺らして先制。さらに同38分には、右サイドを突破した藤井の折り返しに反応した西堀が合わせて追加点を叩き込み、2-0の完封勝利を収めた。

 苦しみながらも、ドリブルを仕掛け続ける“聖和学園らしさ”を存分に発揮しての勝利。「成長している。県予選決勝の苦しい戦いを経験してからの2か月でよく頑張ってきたし、1年間の伸びしろを考えたら、本当に伸びている」と選手たちの成長に指揮官も目を細める。次は、ここまで一度も突破したことのない2回戦に挑むが、「2回戦の壁というより、彼らは1試合でも多くサッカーをやって、悔いのないようにしてほしい。また次もウチらしいサッカーができればいい」と再びピッチ上で“聖和学園らしさ”を存分に披露しようとしている。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)

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