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全国でも続く「初戦敗退からの逆襲」。前橋育英が全国総体優勝校・市船への挑戦権獲得!

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前半39分、前橋育英は10番FW飯島陸が先制ゴール

[12.31 全国高校選手権1回戦 前橋育英高3-0明徳義塾高 フクアリ]
 
 第95回全国高校サッカー選手権は30日、1回戦を行い、前橋育英高(群馬)と明徳義塾高(高知)との一戦は3-0で前橋育英が勝利。前橋育英は17年1月2日の2回戦で市立船橋高(千葉)と対戦する。

 ともに昨年度全国8強。強豪対決は「初戦敗退からの逆襲」を続けている前橋育英が快勝した。前橋育英は今年、県新人戦で優勝したものの、今夏の全国高校総体予選初戦(常磐高)でPK戦敗退。群馬だけでなく、全国的な名門校にとって予選での初戦敗退は屈辱以外の何ものでもなかった。

 FW馬場拓哉(3年)は「本当に、今までの先輩が築いてきたものを崩してしまった悔しさと、情けないという気持ち」と振り返る。そして、FW人見大地(3年)は「育英の看板に泥を塗ってしまったという気持ちが強かった。総体の悔しさが今、自分たちの原動力になっている」。選手権予選へ向けて山田耕介監督や選手たちが掲げた目標は「初戦敗退からの逆襲」「奪還」だった。そして選手権予選を制した前橋育英はこの日、明徳義塾との強豪対決も勝利。「逆襲」の日々をまた伸ばし、目標の日本一へ一歩前進した。

 前半は拮抗した展開。山田監督は「立ち上がりの15分、20分は明徳さんもミドル、ロングパス、縦パスどんどん入れてくる感じだったので、そこだけは跳ね返す。そしてセカンドボールを拾うこと」と指示を出していたという。この日は中盤の柱であるMF長澤昂輝(3年)がプリンスリーグ関東最終戦の退場の影響によって出場停止。「メンタリティーの部分が大きい」と指揮官が語る長澤不在のピンチだったが、MF大塚諒主将(3年)とMF岩下航(3年)のダブルボランチが良くボールを拾って明徳義塾にリズムを与えない。

 明徳義塾のCB舛田凱主将(3年)も「中盤のセカンドボールが拾えなかったのと、相手の分析か分からないですけれども、ハメられていたんで『やられたな』というのが正直な感想です」と分析。思うようにセカンドボールを拾えなかった明徳義塾は大きな展開からのサイド攻撃という持ち味を発揮することができず。苦しい形でのロングボールは前育CB松田陸(2年)に何度も跳ね返されてしまった。

 押し気味に試合を進めた前橋育英も舛田とCB濱口俊介(3年)中心に中央の堅い明徳義塾の守りをなかなかこじ開けることができなかったが、前半39分にスコアを動かす。中央で縦パスを受けた人見が右前方へスルーパス。これで抜け出した10番FW飯島陸(2年)が一度GK六倉葵(3年)に阻まれながらもこぼれ球を押し込んで先制した。

 後半、明徳義塾はFW佐々木敦河(3年)とFW大田陸(3年)へのボールを増やして反撃。3分には右クロスのこぼれ球に反応したMF江口隆史(2年)が強烈なミドルシュートを放った。だが、前橋育英は13分、GK月田啓(3年)のフィードを人見が頭でゴール方向へそらす。これで抜け出した交代出場FW馬場が右足でのコントロールからGKの頭上を突く右足シュートを決めて2-0。さらに18分には右サイド後方から飯島の出したパスで抜け出した馬場が切り返しから、飛び出していたGKの頭上を破るループシュートを決めて3点差とした。

 このまま3-0で勝った明徳義塾が夏の全国高校総体王者・市立船橋への挑戦権を獲得。夏の群馬初戦敗退からミーティングを重ねるなど全員でチーム力を高めてきた上州のタイガー軍団は、出場できなかった全国総体の優勝校相手にどのような戦いを見せるか。飯島は「確かに市船は強いんですけどチャンスは少なくとも作れると思うので、チャンスをしっかり決めていけば勝てると思う」と語り、馬場は「これで満足したらボコボコになるのは分かっている。去年の(テーマ)じゃないですけど、『最強の挑戦者』としてチャレンジして勝ちたい」と誓った。夏の悔しさを全員でぶつけて、夏の全国王者を倒す。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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