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滝川二、前半の2Gで秋田商退け4年ぶりの初戦突破!!

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滝川二高(兵庫)にとっては、勝利もゴールも4年ぶりだ

[12.31 全国高校選手権1回戦 秋田商高0-2滝川二高 柏の葉]

 第95回全国高校サッカー選手権1回戦では、秋田商高(秋田)と滝川二高(兵庫)という選手権優勝の実績を持つ両校が激突した。

 1957年度と1966年度の2回全国制覇を経験している秋田商だが、過去7回の全国大会はいずれも初戦敗退と苦戦が続いている。秋田県勢としても選手権では11年連続初戦敗退中と、今大会は不名誉な記録を断つべく挑んだ。すると立ち上がり7分にはこの試合最初の決定機をつくる。DF石川諒(3年)の右サイドからのクロスがファーサイドのMF伊藤颯(2年)に通る。伊藤はすかさずシュートを放ったが、GK樫野智哉(2年)の好守にあい得点には至らない。

 するとその直後には、6年前に選手権を制覇した滝川二にチャンスが訪れる。前半8分、ペナルティエリア内でゴール背にしながらMF持井響太(3年)がボールを受けると、素早く反転して右足を振り抜く。シュートはクロスバーに弾かれてしまったが、そこにつめていたのは右のMFで先発したFW山田裕也(3年)。同校のOBである「岡崎慎司選手が憧れ」だという山田が、こぼれ球を頭で押し込む。岡崎のお株を奪うようなゴールで、前半8分に滝川二が先手をとった。

 ともに180cmを越えるパワフルな2トップと、テクニックとスピードを備える両ワイドのMFという、前線の4枚が躍動し主導権を握る滝川二。2トップの一角として先発したFW本田周作(3年)にロングボールを当てるシーンが目立ったが、それも作戦のうえだった。「相手の特徴を考えてサイズの大きい選手を入れて、太陽の向きも考えて、攻めるコートも決めていた」と松岡徹監督。「調子が上がってきていた」(松岡監督)という本田が、指揮官の期待通りの活躍を見せて、ロングボールのターゲットとして機能した。

 さらに、4-4-2の中盤左サイドに入っていた持井が個人技を駆使して攻撃にアクセントを加えていく。攻撃の手をゆるめない滝川二は、左サイドから再び持井が仕掛けると、中央の山田へ。山田が本田へとつなぐと、最後は右足で決めてリードを2点に広げた。

「攻撃に破壊力がある」とスカウティングしていた秋田商の小林克監督だが、それよりも県予選5試合を2失点で終えた滝川二の守備力を警戒していて、「ゴール前が固かった。あれをこじ開けるのは難しい作業だと思っていた」という。滝川二の守備ラインが崩れるシーンはほとんど見られず、秋田商の選手からは焦りが感じられ、敵陣に入ってからは効果的なパスをつなぐことができなかった。後半13分にはMF伊藤岳歩(3年)がDFラインの裏に抜け出し、強烈なシュートで狙ったが、GK樫野のセーブにあってしまった。

 終わってみればシュート数で5対18と圧倒された秋田商。「立ち上がりにビッグチャンスをつくったのはうちだったので。決めきれていれば、あっちがバタつく時間も増えて、自分たちの時間をもう少し長くつくれたんじゃないか」と小林監督は悔やんだ。

 4年ぶりの選手権勝利を手にした滝川二。「東京で年を越そう」(松岡監督)という標語通りに、1月2日に行われる2回戦へと駒を進めた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)


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