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注目CB原「自分たちの強みは崩れないこと」、市立船橋がピンチにも動じず完封勝利

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市立船橋高のU-19日本代表CB原輝綺(右)とMF阿久津諒

[12.31 全国高校選手権1回戦 市立船橋高1-0京都橘高 フクアリ]

 京都橘高のFW堤原翼(3年)が「得点できなかったのが全て」と振り返っていたが、夏の全国高校総体優勝校・市立船橋高の守りは最後まで崩れなかった。

 前半26分、伊藤竜一GKコーチから「FKが試合を左右する。それを決める、決めないで勝敗は変わってくる」という注意されていたというGK長谷川凌(2年)が、相手のU-19日本代表FW岩崎悠人の右足FKをファインセーブ。前半36分には岩崎の強烈な右足シュートがポストをヒットするなど、岩崎や堤原ら前線の選手の力ある京都橘のカウンターに幾度か危ないシーンをつくられた。

 それでも、U-19日本代表CB原輝綺(3年、新潟内定)が「自分たちの強みは崩れないこと」と説明するように、市立船橋は慌てない。リスクマネージメントの部分を再確認し、より注意力を払って相手の攻撃に対応した。そして目に見えるほどのハードワークでチームを支えていたMF金子大毅(3年)やMF阿久津諒(3年)、そしてMF高宇洋(3年、G大阪内定)の中盤3人ら全員がやるべきことを徹底。注目CB原も球際で捨て身のチャージを見せて「ちょっとフリーにしたらかなりの殺傷力」という岩崎の突破を止めるなど無失点勝利に貢献した。

 史上最多記録を更新する9度目の全国制覇を果たした今夏の全国高校総体でも市立船橋は6試合中5試合で無失点勝利。失点は準々決勝・瀬戸内高(広島)戦で、2-0の後半終了間際にPKで与えた1点のみだった。高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグEASTでも3失点したのは、原がU-19日本代表活動で不在だった9月の横浜FMユース戦(2-3)のみで2失点も一度のみ(5月、3-2柏U-18)。18試合で失点13はリーグ最少だ。もちろん、個々、グループとしての守備力の高さ、徹底したハードワーク、守備意識の高さが大きいが、何か想定外のことが起きても崩れない強さがこの日も際立った。

 市船の選手たちが欠かさない周囲への感謝。「今まで家族に迷惑をかけてきた」という原は「目標は優勝なんで、優勝するために今まで通り一個一個やっていかないといけない。ここで優勝することで市船の歴史に名を刻めると思いますし、今まで携わってくれた人だったり、仲間だったり、保護者、OB会の方々とか、その人達に優勝というのが最大の恩返しだと思っているので、選手である以上、結果で恩返ししたいと思っています」。支えてくれる人たちのためにも、ピッチに立った選手たちがどこにも負けないほどの責任感を持って戦う。今後も、市船は崩れない。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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