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常勝鹿島19冠!!風間集大成の川崎Fはまたもタイトル獲得ならず

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鹿島アントラーズが天皇杯を制した

[1.1 天皇杯決勝 鹿島2-1(延長)川崎F 吹田S]

 天皇杯の決勝が1日、吹田スタジアムで行われ、鹿島アントラーズ川崎フロンターレを延長戦の末に2-1で下し、6年ぶり5回目の天皇杯制覇を成し遂げた。鹿島のタイトルはこれで19個目となった。

 準決勝から中2日。52年ぶりに関西で行われる決勝戦は6年ぶり5回目の天皇杯制覇、リーグチャンピオンシップとの9年ぶりの2冠、通算19個目のタイトルを目指す鹿島と、悲願の初タイトルを目指す川崎Fの対戦となった。川崎Fは風間八宏監督やFW大久保嘉人のラストマッチとしても注目を集めた。

 鹿島のスタメンは準決勝(〇2-0横浜FM)から2人変更。準決勝途中出場のMF遠藤康と出場のなかったDF西大伍が復帰。負傷中のFW金崎夢生はこの日もベンチ入りしなかった。対する川崎Fは準決勝(〇1-0大宮)でフル出場していたMFエドゥアルド・ネットが累積警告で出場停止。代わってMF大島僚太がスタメンで起用された。

 決勝戦らしい、序盤からタイトルへの思いがぶつかり合う前半になった。MF小笠原満男が再三激しいチャージをみせていたが、ついに前半19分、ピッチ中央で小競り合いに発展。再開直後には空中戦の競り合いの中で西の足がMF登里享平の頭部をかすめる。乱闘寸前となるが、ここでのカードは出ず、試合が再開された。

 前半、チャンスの数で上回ったのは川崎Fだった。特に大久保が積極的にゴールを目指す。ただ前半13分の大久保の強引なドリブル突破からシュートを狙うもGK曽ヶ端準に手に当てて防がれる。同28分にはFW小林悠のクロスにMF登里享平が飛び込むが、シュートは頭にミートせず、枠を捕らえることはなかった。

 ただこの展開は鹿島のものだった。前半をスコアレスで折り返すかと思われた前半42分、右サイドからのCKを遠藤が蹴ると、中央でDF山本脩斗が合わせる。GKチョン・ソンリョンも横っ飛びで手に当てるが、ボールはポストを叩いてゴールネットに収まった。

 試合巧者ぶりをみせつけて前半を1点リードで折り返した鹿島は後半から得点した山本を下げてDFファン・ソッコを投入。対する川崎は登里を下げてMF三好康児をピッチに送り込んだ。そしてこの交代策がスコアを動かすことになる。川崎Fは後半9分、三好のスルーパスに抜け出した小林が右足で同点弾を蹴り込み、試合を振り出しに戻した。

 ペースを取り戻した川崎Fは一気に責め立てる。しかし後半13分のMF大島僚太のパスから小林が狙ったシュートはDFにカットされる。同20分にはカウンターから右サイドをドリブルで突破した小林が切り返しでDFを外して左足を振り抜く。しかし左ポストを叩いてしまい、追加点にはならなかった。

 均衡状態はなかなか崩れない。ミスが命取りとなる展開が続くが、互いに集中力を切らさない。後半42分には川崎Fが高い位置でボールを奪うと、憲剛がエリア右の小林に展開。逆サイドでフリーになっていた大久保に出そうとするが、DFにカットされてしまった。試合は90分で決着がつかず、延長戦に突入した。

 しかし延長に入るとすぐにスコアが動いた。鹿島は前半3分、浮き球に反応した途中出場のMFファブリシオが浮き球シュート。これはDFエドゥアルドのスーパークリアに防がれたが、直後の同4分、鈴木が頭で落としたボールに対し、西が粘る。こぼれ球をファブリシオが豪快に蹴り込み、鹿島がリードを奪った。

 攻めるしかない川崎Fは後半から大島に代えてFW森本貴幸を投入。前線に強力攻撃陣を並べて勝負に出る。しかし常勝軍団鹿島の前に、攻撃が跳ね返される。今季限りで退任する風間監督のラストゲームだったが、川崎Fはまたも悲願のタイトル奪取とはならなかった。

(取材・文 児玉幸洋)
●第96回天皇杯特設ページ

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