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夏6失点の強敵に狙い通りの完封劇!鹿児島城西が長崎総科大附との九州勢対決をPK戦で制す!

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PK戦1人目、鹿児島城西高GK泉森涼太がPKストップ

[1.2 全国高校選手権2回戦 鹿児島城西高0-0(PK4-2)長崎総合科学大附高 等々力]

 第95回全国高校サッカー選手権2回戦が2日に行われ、等々力陸上競技場(神奈川)の第1試合、鹿児島城西高(鹿児島)対長崎総合科学大附高(長崎)戦は0-0で突入したPK戦の末、鹿児島城西が4-2で勝利。12年度以来となるベスト16進出を決めた鹿児島城西は3日の3回戦で東福岡高(福岡)と戦う。
 
 自分たちのスタイルではなかった。それでも勝つために徹底した守備重視の戦いで、鹿児島城西が九州対決を制した。序盤からボールを握り、押し込んでいたのは1回戦で桐光学園高(神奈川)との注目対決を制して勝ち上がってきたプリンスリーグ九州王者・長崎総科大附の方。前線のU-17日本代表FW安藤瑞季(2年)や注目10番MF薬真寺孝弥主将(3年)がボールを収め、ワンツーでサイドを崩すなど相手にプレッシャーをかけていく。

 鹿児島城西は7月のプリンスリーグ九州で長崎総科大附に0-6大敗。11月の対戦では守備的な戦いをしたことによって0-1と点差を縮めて終えていた。チームは「プリンスでも前期6点やられたり、後期もやられている。非常に力強い選手がいるし、技術も高い。パワーも、テクニックもあるんで普通に組んだら相当点数が入るんじゃないかと思います」(小久保悟監督)という強敵に対して割り切って守備的な戦いで挑むことを選択する。

 攻撃時のセットプレーでも185cmのU-17日本代表CB生駒仁(2年)を前線に上げることなく、まず失点をしないことに集中。小久保監督は「(セットプレーの)跳ね返りもカウンターになるケースがある。とにかく失点したくないゲームだったので、後ろは点取られないように準備していました」。その鹿児島城西は注目CB生駒と、負傷明けで初戦“温存していた”184cmのCB田實康人(3年)が自陣ゴール前での制空権を握り、MF永吉広大主将(3年)ら中盤も非常に守備意識高いプレー。またMF大脇瑞城(2年)が「フリーで前を向いたらいいボールを蹴ってくる。自分がやらせないように」と相手のキーマン・薬真寺に対してマンマークについて自由を与えなかった。

 守備に重きを置いた鹿児島城西だが、攻撃の一発も示す。7分には敵陣でセカンドボールを引っ掛けたFW眞田颯(3年)が一気に前進。ここはPA直前で飛び出した長崎総科大附GK湊大昂(2年)にクリアされたが、19分にもFW津留優晴(2年)がDF3人に囲まれながらも一人で持ち上がってCKを獲得し、直後の右CKでこぼれ球に反応した眞田が決定的な形で押し込もうとする。これは長崎総科大附MF山本大樹(3年)にゴールライン上でかき出されたが、わずかな攻撃機会でチャンスも作り出した。

 長崎総科大附も31分に右サイドでボールを持ったFW右田翔(3年)がDF2人の間を突破してクロス。また安藤が強引にPAへ持ち込もうとする。加えて長崎総科大附のクロス、ロングボールが次々と鹿児島城西ゴール前目掛けて飛んでいった。それでも鹿児島城西は「前日のミーティングでゴールキックもFKくらい起点になると言われていた」(田實)ことで相手ゴールキックも含めて集中力を切らさず、田實や生駒、GK泉森涼太(2年)が身体を張った守備を見せて決定打を打たせない。

 後半も形勢は変わらなかったが、拮抗した展開が続く。長崎総科大附は薬真寺がコンビネーションからシュートへ持ち込もうとするがその数を増やすことができない。小嶺忠敏監督は「(サイドを崩したり)もっとできるチームだけど……」。MF嶋中春児(2年)のロングスローやCKからPAでの攻防へ持ち込んだが、2トップを前線に残して守る鹿児島城西守備陣は崩れなかった。

 鹿児島城西も12分に右CKの流れから連続シュートを放ち、21分にもCKの流れからMF高野優太(3年)がヘディングシュートを放ったが、長崎総科大附ゴールをこじ開けるまでは至らない。長崎総科大附も31分に安藤が切り返しでDFをかわしてから左足シュートを放つなど、ゴールへ迫るが、スコアは動かないまま80分間を終えて決着はPK戦に委ねられた。

 田實は「プリンスリーグの2節目はこういう戦いをしてセットプレーで0-1で負けて。その時に手応えあったので、この試合は我慢してPKまで最低でも持っていって勝とうと。狙い通りでした」。試合の流れは思惑通りの無失点で後半を終えた鹿児島城西。その流れに2年生守護神が乗る。PK戦1人目、後攻・長崎総科大附のエースFW安藤の右足シュートをいきなりGK 泉森が右へ跳んでストップ。そして4人連続で成功した鹿児島城西に対し、長崎総科大附は最終ラインで奮闘していた4人目・CB森田将生(3年)の右足シュートが右ポストを叩いて決着がついた。2人の実力派CBを中心に役割を全うした鹿児島城西がプリンスリーグのリベンジに成功。昨年度王者・東福岡と戦う3回戦へ進出した。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
 
(取材・文 吉田太郎)
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