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[MOM2010]聖和学園DF小倉滉太(3年)_“史上最弱”の主将から“史上最強”の主将へ

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聖和学園高(宮城)のキャプテンを務めるDF小倉滉太(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 聖和学園1-1(PK4-2)徳島市立 NACK]

 史上最弱の代と呼ばれてきた。しかし、その世代が中心となり、チーム史上初となる2回戦突破を決めた。聖和学園高(宮城)のキャプテンマークを託されるDF小倉滉太(3年)は「すごいうれしいし、誇りに思います」と胸を張った。

 聖和学園は序盤から主導権を握って試合を進める。CBの位置に入る小倉もボールを持てばドリブルで果敢に仕掛け、守備に移れば危機察知能力の高さを活かし、危機の芽を未然に摘み取るなど攻守に存在感を示した。特に相手のカウンターの好機を幾度となく潰したことで、徳島市立高(徳島)の河野博幸監督も「ウチの攻めるチャンスを5番の選手(小倉)に全部カットされてしまった」と振り返っている。

 小倉自身も守備面、特に危機察知能力には自信を持っている。「1年生の頃にスタッフの方から危機察知能力が高いと言われて、CBに抜擢された。自分の特長が明確になったので、自分はそこを伸ばしていこうと思った」。攻撃面でもドリブル突破、効果的な縦パスでリズムを生み出したが、「僕は目立つ選手ではない。周りのチームメイトが目立ってくれれば満足です」と自身を“黒子”だと表現する。

「僕はキャプテンというキャラじゃない。プレーだったり、声でチームを鼓舞できればと思っている。あまり目立ちませんが、陰のプレーでチームを支えようとしています」

 チームは後半21分にFW大八木隆斗(3年)のゴールで先制しながらも、同25分に追い付かれてしまう。しかし、1-1のまま迎えたPK戦を4-2で制して、史上初の2回戦突破を決めた。チームの歴史を塗り替えたことに、小倉は満面の笑みを浮かべる。

「僕たちは史上最弱と言われてきました。何回もミーティングをして、見返してやろうという気持ちもあったし、必ず史上最強になろうという話をしてきた。皆が『俺たちが最強になる』と言い聞かせてきたことが、今日の結果につながったと思う」

 歴史を塗り替えたチームは、“史上最強”になったとも言えるが、歩みを止める気などない。翌3日に行われる3回戦では、昨年度の選手権2回戦で0-5と大敗した青森山田高(青森)と対戦する。「先輩の敵を討ちたい」と視線を鋭くさせると、「自分たちの目標は全国優勝。山田に勝って勢いに乗りたい」と力を込める。“史上最強”のチームの先頭に立ち、強豪・青森山田撃破を誓う。

(取材・文 折戸岳彦)

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