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「惜しい」で終わらせなかった駒澤大、昨年に続き初戦突破!

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地元の歓声を背に最後まで走り切った駒澤大高(東京A)が勝利

[1.2 全国高校選手権2回戦 高松商0-1駒澤大 駒沢]

 地元の歓声を背に最後まで走り切った駒澤大高(東京A)が、11年ぶりに選手権へ帰ってきた高松商高(香川)を振り切り3回戦へ進出。3回戦はこの日の第2試合で勝利した山梨学院高(山梨)と同会場でベスト8をかけて戦う。

 当たりの激しい戦いになった。試合開始から互いに思い切りのいいプレスで自由を与えない。そんな中、徐々に圧力を強めていったのは駒澤大の方だった。24分にはCKからDF佐藤瑶大(3年)がヘディングで合わせ、続く26分には左サイドからDF長井虎之介(3年)、MF栗原信一郎(3年)とつないだボールをMF西田直也(2年)がシュート。ともにバーをかすめる得点チャンスだった。

 対する高松商も前半30分を越えたあたりからカウンターでゴールを襲う。縦に鋭い攻撃で勢いを押し返す形で前半を終了した。

 この前半の戦いぶりに関して、「前半はあまりにもひどすぎた。今までやってきたことを出そうと、冷静にいこうと散々言ってきたのにできていなかったので怒りました。それで後半は少し落ち着きました」という分析をするのが駒澤大の大野祥司監督。対する高松商の陶山輝佳監督は「立ち上がり20分が大事だという姿勢を選手がプレーで示してくれた。体格やハートで逃げないようにセカンドボールをひろったり、やり返せと。前半は上手く相手の流れを分断できたと思います。ただ、自分たちが通用したと思っている節があったので、まだ何もできていないぞ、と送り出しました」と分析する。

 駒澤大のチームスタイルは、相手DFの裏のスペース「ハイサイド」にボールを放り込み、セカンドボール以降を拾ってたたみかけるというもの。狙いはシンプルだが「初めて初戦が年明けの2回戦からになって、自身を含めてどこか緊張感がなかった」と大野監督は振り返る。伝統の守備は堅い。持ち前の走力も随所に発揮しているように見受けられた。だが、点が取れない。

「この代は1年の時からポゼッションはできても点が取れず0-1で負ける試合が多かった」(大野監督)。いかにゴールを取り切るか、がポイントだったが、その答えを出したのが気を引き締め直して臨んだ後半の17分だ。

 右サイドからのスローイン。DF高橋勇夢(3年)のロングスローのこぼれ球が、途中交代で入ったばかりのMF米田泰盛(3年)の足元へ。これを振り向きざま、本人にとっては「逆足だった」左足で決めて先制する。「うまくいきすぎ」と大野監督も微笑んだ米田のファーストタッチゴールが、この試合の決勝点になった。

「選手たちには感謝しています。ただ、ボールを奪った後の展開でミスをしてチャンスを与える場面が徐々に増えていた。0-0のまま試合が進むわけはないとは思っていました。問題は点を取られた後の攻めが不十分だったこと。試合を通して上手くボールを奪えているシーンも多かっただけに、その後の技術や精度を発揮できる経験値がなかったことが…。この試合が今後、高松商がレベルアップしていくきっかけになる試合になるととらえたいです」と陶山監督は試合を振り返る。試合は両チームとも「デュエル」を続けるタフな試合になった。後半は受け身の高松商イレブンの出足が弱まり、守っているだけで精一杯な状況に追い込まれたことも否めない。だが、1失点後追加点を許さなかったところに強みである「粘り」は感じられた。互いに難しいことをせず、割り切って迷いのないプレーが多かったからか、試合後はどこか清々しさが残った。

 駒澤大にとっては、互いに耐えるゲーム展開は与しやすいものだったかもしれない。その形で昨年度ベスト8へ進出した財産もある。そういう意味では次戦の相手、山梨学院も似たようなチームカラーだ。「6年前に負けているので(2010年度第89回大会3回戦0-1)、リベンジしたい」。連戦とはなるが、タフなゲームが1月3日、また駒沢で展開されそうだ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)

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