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「大当たりだった」 正智深谷FW上原、1回戦ベンチ外の悔しさバネに決勝PK獲得

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途中出場で流れを変えたFW上原翔汰

[1.2 全国高校選手権2回戦 関東一高1-2正智深谷高 浦和駒場]

 1回戦はベンチ外だった。それでも巡ってきたチャンスで劇的勝利を呼び込むPKを獲得し、指揮官に「大成功だった。彼をベンチに入れて、使ったことは大当たりだった」と言わせてみせた。

 FW上原翔汰(3年)は、県予選で2試合に出場したがいずれも途中出場だったという。本大会の30人の登録メンバーには入ったものの、1回戦は先発を含めた20人の枠に入らず、まさかのベンチ外。「悔しかった。やっぱり結果を残していかないといけないので、チャンスがあったら全力でやろうと心掛けていました」。それでも、チームが3度目の正直で初戦突破を決めると、次の試合で出場のチャンスが訪れた。2回戦のメンバー入りを果たしたのだ。

 その意図を小島時知監督は、「(開幕戦で関東一高と対戦した)野洲があれだけの攻撃をしていて、点が取れなかったのは、守備がかなり良いだろうと思いました。そうすると、セットプレーとかヘディングが鍵になると思いましたが、うちはヘディングが強い選手が前線にいないので、上原を入れてヘディングで起点を作ろうと思いました」と説明し、本人に「チームが行き詰ったときはお前のヘディングに頼るときがあるから準備しておけ」と伝えていたという。

 ベンチスタートとなったが、ベンチから「失点してからの退場で流れが悪かった。10人ですけど、団結すれば逆転できると思ってしました。声が良く出ていたので。雰囲気は良かった」と思っていた。そして、1点ビハインドの後半24分に「走って点を取ってこい」と監督に言われて、ピッチに入った。すると、正智深谷は前線でボールがおさまるようになり、攻撃にリズムが生まれた。

 迎えた後半39分、セットプレーからの混戦をDF金子悠野(3年)が右足で押し込み、ついに同点に追いつく。さらにホームの大歓声を受ける正智深谷が一気に畳み掛けた。後半アディショナルタイム2分、右サイドのクロスをFW梶谷政仁(2年)がヘッドで落とし、上原が放った右足ボレーシュートが相手の手に当たってPKを獲得。これをキャプテンのMF小山開喜(3年)がしっかりゴール右に沈めて、勝負あり。2-1で逆転勝利をおさめた正智深谷が3回戦に駒を進めた。

「自分のできることはやったと思う」と胸を張る上原。3回戦でのベンチ入りが確約されたわけではないが、創造学園高戦に向けて「次も一致団結して勝ちたい」と、あくまでチームの勝利が優勢と言い切った。悔しい気持ちが人を成長させる。今度、出番が回ってきたときは、チームを自身の得点で勝利に導いてみせる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 清水祐一)
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