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就任1年目の米子北・中村監督が2回戦敗退に男泣き「次の試合がない選手に…」

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2回戦で姿を消した米子北高

[1.2 全国高校選手権2回戦 米子北高0-1佐野日大高 西が丘]

 歴史を塗り替えるつもりだった。米子北高(鳥取)はDF昌子源(鹿島)らを擁した2009年の全国高校総体で準優勝。選手権では苦戦が続いていたが、14年度に16強入り。全国高校総体8強、プリンスリーグ中国優勝、プレミアリーグ昇格と波に乗る今季は選手権で夏の8強越えを狙ったものの、2回戦敗退を喫した。

 スコアレスで前半を折り返すと中村真吾監督は策を打つ。後半開始と同時に4ー4ー2から3ー4ー3にシステムを変更。「もう少しサイドを使ってロングボールに角度をつけたかった」。しかし、両サイドの1対1にも勝機はなく、起点をつくることはできなかった。

 後半22分には痛恨のオウンゴールを献上。「カウンターで1点はやられるかなと思っていたので、僕自身は想定内。予想以上に生徒には重くのしかかったのかな」。終了間際には前線に人数をかけたパワープレーからシュートを連発。後半39分にFW伊藤龍生が放った強烈ミドルはクロスバーに嫌われた。終盤も佐野日大のGK中村一貴(3年)の連続セーブとしぶとい全員守備に抑え込まれ、最後までゴールをこじ開けることはできなかった。

 中村監督は城市徳之総監督からバトンを受け、今年が監督就任1年目。「(総監督の)18年目の続きだと思ってますし、僕は今まで通り(チームに)関わった」と振り返るが、思い入れは自然と強まっていた。試合後のロッカールームでは選手にどんな声をかければいいのか分からず、無力感に苛まれた。

「今日の試合の反省であればいくらでも喋れるけど、次の試合がない選手に綺麗な言葉をかけてあげることもできない。監督1年目のダメさ加減を感じます。負けた後にいい声なんか掛けれませんね、まだ…」。自嘲しながら、人目もはばからずに涙をこぼした若き闘将。43歳の挑戦はまだ始まったばかりだ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 佐藤亜希子)
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