beacon

「1年に1回できるかどうか」駒澤大高が山梨学院を4発圧倒で2年連続8強入り

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半7分に先制点を決めたDF村上哲がチームメイトと喜ぶ

[1.3 全国高校選手権3回戦 山梨学院高0-4駒澤大高 駒沢]

 第95回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行い、駒沢陸上競技場の第1試合では駒澤大高(東京A)が山梨学院高(山梨)に4-0で快勝し、2大会連続の8強入りを決めた。5日の準々決勝では佐野日大(栃木)と対戦する。

 駒澤大の大野祥司監督に「こんなゲーム、1年に1回できるかどうか」と言わしめるワンサイドゲームになった。前半7分、MF長井虎之介(3年)の左CKにDF村上哲(3年)が頭で合わせ、先制点。立ち上がりのセットプレーを生かすと、同12分にはDF高橋勇夢主将(3年)のロングスローからこぼれ球をMF武智悠人(3年)が狙うなど、序盤から山梨学院を押し込んだ。

 前半17分には再び左CKから長井が左足で蹴り込むと、GKがパンチングしたこぼれ球をDFがクリアミス。ゴール前に浮いたボールをMF矢崎一輝(3年)が胸トラップから右足を振り抜いた。「振るだけだったので、うまく入ってよかった」と微笑む背番号10は前回大会も全4試合に先発しながら無得点。今大会初戦となった前日2日の2回戦・高松商戦(1-0)も不発に終わり、「去年も1点も取れず、昨日も取れず、『このまま終わるのか』と言った」という大野監督のゲキに応えた。

 これで肩の荷が下りたか、躍動する矢崎は2分後の前半19分にキレ味鋭いドリブル突破を披露。MF栗原信一郎(3年)に預けると、栗原のワンタッチパスからMF西田直也(2年)がPA内に抜け出し、左足で右のサイドネットに流し込んだ。前半19分までに3-0。「ハーフタイムに監督にも『出来過ぎだ』と言われました」(村上)という意外な展開となった。

 3点ビハインドを負った山梨学院は前半28分に早くも動く。今大会初先発となったDF西雅人(3年)を下げ、FW宮崎純真(1年)を投入。MF大竹悠生(3年)がセンターバック、MF小林友也主将(3年)がボランチ、MF降矢涼平(3年)が右サイドハーフにそれぞれポジションを下げ、宮崎とFW藤原拓海(3年)の2トップに変更した。

 しかし、流れは変わらない。駒澤大は前半30分、右クロスに栗原がダイビングヘッドで飛び込むが、ここはGK大野郁哉(3年)がファインセーブ。同37分にはFW影山克明(3年)の左足シュートが右ポストを直撃するなど、攻撃の手を緩めなかった。

 3-0で折り返した後半6分にもスルーパスに抜け出した影山がGKと1対1の決定機を迎えるが、大野が体を張ってセーブ。山梨学院は後半7分にFW西野隆男(3年)に代えてMF雨宮壮(3年)、同9分には降矢に代えてFW須藤航太(3年)を投入する。その直後に小林が放った右足ミドルはGK鈴木怜(3年)の正面を突いた。

 駒澤大はみたびCKからゴールを奪う。後半12分、長井の左CKにDF齋藤我空(1年)が打点の高いヘディングで合わせると、GK大野が体勢を崩しながらも右足に当てるファインセーブを見せたが、跳ね返りが目の前の高橋の胸部に当たってゴールへ。運にも見放された山梨学院は4点差を付けられ、万事休した。

 駒澤大は80分間を通して前線からのプレッシングが落ちず、球際の戦い、セカンドボールへの反応でも圧倒。反撃に出たい山梨学院にボールを前に運ばせなかった。「プレスでのボールの奪い方はイメージどおり」と大野監督も納得の完璧な守備。これで都大会から通じて6試合連続完封勝利となった。

「一発勝負のトーナメントになると、流れの中からはなかなか点を取れない。守備、セットプレー、カウンター、PK。特にセットプレーの練習は2週間前ぐらいからかなり準備してきた」。正確な左足キックでCKから3ゴールを演出した長井だけでなく、先制ヘッドの村上も左足の精度は高い。アウトスイングの左CKは長井、インスイングの右CKは村上という役割分担があったが、基本的に大野監督の指示は「交代で蹴ったり、選手で考えてくれ」と自由。村上は「試合中に(2点目を)決めたくなっちゃって、後半の途中からはインスイングも長井に蹴ってもらった」と照れ笑いを浮かべたほどだ。

 準々決勝では佐野日大と対戦する。前回大会、優勝した東福岡の前に涙をのんだ“8強の壁”。一方の佐野日大も全国選手権の過去最高成績は98年度のベスト8で、勝ったほうが歴史を塗り替えることになる。「次も慢心せず、自分たちのサッカーをして勝ちたい」と矢崎。初の4強切符は譲らない。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2016

TOP