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「感謝するつもりが最後に怒られて…」前橋育英主将・大塚、指揮官にプレゼントできなかった優勝胴上げ

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試合後には涙のチームメイトを気遣った前橋育英高主将MF大塚諒

[1.9 全国高校選手権決勝 青森山田高5-0前橋育英高 埼玉]

 1回戦から準決勝まで、5試合連続の無失点できていた前橋育英高(群馬)。しかし、決勝では青森山田高(青森)に先制点を許したことでチームの歯車がずれ始めた。「何試合か失点していなかったので、そういう雰囲気を味わえなくて。そのままズルズル引きずってしまった」と主将のMF大塚諒(3年)。前半アディショナルタイムに喫した2点目も「残り何分もない中で……。選手もダメージ受けていた」と言うが、それでもハーフタイムには「まだいける雰囲気あった」。しかし、後半12分に再度失点し「3点目を入れられて、そこから(気持ちが)落ちてしまった」と大塚は唇をかんだ。

 スコアでは大差がついたが、前半にチャンスをつくり続けていたのは前橋育英だった。最初の失点をする前に2度、失点の後にも3度、決定機を迎えていた。「あそこを決めてればという場面が何回かあって。(決めていれば)流れ変わったかもしれないですけど、そこはずっと前からの課題だったので。最後に課題の部分が出てしまった」。チームを引っ張っり大会優秀選手にも選ばれたMFの口からは、悔しさばかりがついて出た。

 前半の5回にわたる決定機のうちの1回は、MF高沢颯(3年)のパスをゴール前でフリーだった大塚が狙ったもの。相手ゴールはGK廣末陸(3年)が飛び出している状態だったが、大塚が放ったシュートは枠をとらえることができなかった。「キャプテンとして情けないというか、最後の最後までプレーで引っ張れなかった」。

「ここまで積み上げてきたものが、最後で完敗というのは悔しい」と0-5での敗戦を主将の大塚は悔やむ。山田耕介監督にとって初となる「胴上げをしたかった」という想いがあったことを明かした。「監督からは『情けない』と言われてしまって……。感謝するつもりが、最後に怒られて終わりで悔しいです」。思わぬスコアに、指揮官が受けたショックも大きかった。

 選手間の投票を経てキャプテンに就任したという大塚。昨年の選手権にもレギュラーとして出場していた主将は、自身の経験をもとにチームの風通しをよくすることを試みた。「3年生に言えない部分があったので、それを活かして、2年生にはいい環境でやってもらおうと変えました」。実際ピッチでは2年生が5選手先発。DF松田陸(2年)、DF渡邊泰基(2年)、FW飯島陸(2年)の3選手は大会優秀選手にも選出されるなど躍動した。「この悔しさはどのチームよりも大きいと思うので、来年ここまで這い上がってきて、笑って終わってほしい」。最後まで奮闘した背番号7は、後輩たちへ夢を託した。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)

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