高校選手権で悔しさを味わったばかりだ。東福岡高からジュビロ磐田に加入したMF藤川虎太朗はプロサッカー選手としての第一歩を踏み出し、「改めてプロになったんだという気持ちがある。ここからが本当の勝負」と気を引き締めていた。

　大会2連覇を狙う東福岡の10番を背負いチームをけん引した藤川だったが、準々決勝の東海大仰星戦で0-1の完封負けを喫して高校サッカーの終わりを迎える。敗戦後には「今大会は自分自身、全然ダメだった。試合終了の笛が鳴った瞬間は本当に悔しかった」と悔しさを滲ませた。

　あれから一週間。“赤”から“サックスブルー”のユニフォームに着替えたルーキーは、新体制発表記者会見に臨み、「1年目だからといって静かになるのではなく、逆に自分を出していきたい」と決意を表した。物怖じするのではなく、1年目から自分の持っているものをすべて出そうとアピールに燃える。

　18歳の藤川とともに、横浜FMから移籍してきた38歳のMF中村俊輔も記者会見には同席。「本当のスーパースター」と語る20歳上の大先輩からも「ピッチ内外で盗めるものを盗みたいし、自分の中に吸収していきたい」と背中を見て、自身の成長につなげていこうとしている。

「まずは試合に出ることが目標」と語る若武者の新たな物語が幕を開けた。

(取材・文　折戸岳彦)

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