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大宮の新10番大前「一番悩んだ」覚悟の移籍、同じオレンジのユニには「違和感ない」

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大宮アルディージャの10番を託されたFW大前元紀

 悩みに悩んだ末に、異なるオレンジ色のユニフォームに袖を通す決断を下した。デュッセルドルフでの半年間を除けば、8シーズン半にわたってプレーした清水から大宮アルディージャへ完全移籍で加入したFW大前元紀。昨季、1年でのJ1復帰を支えた清水の“顔”は「一番サッカー選手として悩んだ」と、決断までの苦悩を語った。

「ずっと悩んでいました。去年はJ2に落ちたタイミングだったし、ケガをしてから復帰までの期間も『これでいいのかな』と相当、悩みました」。今オフに限らず、これまでにも他クラブからのオファーはあった。昨季は愛する古巣をJ1に戻すという“使命”を優先させたが、今オフのオファーには心が揺れた。

「サッカー選手として、ゼロからどれだけ自分が成功できるかというのを第一に、清水に残ったほうがいいのか、出たほうがいいのかを考えた。そのうえで、環境を変えたほうが1ステップも2ステップもレベルが上がると思った。悩んだけど、決断しました」

「教えられない部分を持っている選手」と、その抜群の得点力を称賛する渋谷洋樹監督が志向する攻撃サッカーにも魅力を感じた。「いろんな選手を使える自信があるし、(自分も)使われないと生きない選手だと思っている」。新天地での攻撃のイメージを膨らませる27歳は、新たな環境に身を置くことで「足りない部分も分かると思う」と、さらなる進化の予感も感じている。

「エスパルスで最高な時間を過ごしてきた。それを一回なくしたときに、自分が大宮でどれだけやれるかのか。すごく楽しみです」。新たな気持ちで袖を通したユニフォームは奇しくも清水と同じオレンジ色で、「あまり違和感がないのでよかった」と笑顔を見せた。期待を込めて託された10番という背番号については、「そういう番号を用意してくれたというのは高い評価をもらえているからだと思うし、その評価を結果で証明したい」と意気込んだ。

 昨季はJ2リーグ戦で18得点を記録。今季の目標を聞かれると、「数字は言わないですね、いつも」と前置きしながらも、「2ケタ得点は最低限。目標ではない」と言い切った。大宮は昨季、クラブ史上最高となるJ1年間5位という結果を残したが、「去年の成績は最低限の目標であって、タイトルを取れるチームだと思うので、そこを意識しながらやっていきたい」と貪欲に語った。

 目標は他にもある。「ずっと代表を目指してやってきた。そういう意味でも環境を変えたかった。まずはチームでしっかり結果を出して、そういうところも目指していけたら」。覚悟を決めた大前の飛躍のシーズンが始まる。

(取材・文 佐藤亜希子)

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