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[新人戦]勝つために攻め抜く。土壇場に追いついた神村学園が大津とのPK戦制して九州決勝進出!

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PK戦で好守を見せたGK冨吉優斗中心に決勝進出を喜ぶ神村学園高イレブン

[2.12 九州新人大会準決勝 神村学園高 1-1(PK4-2)大津高 佐賀県総合運動場陸上競技場]
 
 12日午後、平成28年度 第38回九州高等学校(U-17)サッカー大会準決勝が行われ、神村学園高(鹿児島1)が1-1で突入したPK戦の末、4-2で大津高(熊本2)に勝利。5年ぶりの決勝進出を果たした。

 攻めて、攻めて、攻め切る。その決意で戦う神村学園が試合終了間際のゴールで同点に追いつき、PK戦で大津の攻め合いを制した。1年生10人が先発したプレミアリーグ勢・大津との一戦。立ち上がり2分にいきなり決定機を作られたものの、主導権を握って攻めていたのは神村学園の方だった。

 準々決勝でハットトリックを記録した注目エースFW高橋大悟主将(2年)が大津の先発で唯一の2年生、MF秋永柊斗に徹底マークされたが、その中でも危険な存在であり続けた高橋や成長株のMF田畑拓武(2年)を中心に試合をコントロール。そして再三クロスまで持ち込んで先制点を狙う。

 ただし、クロスまでは難なく持ち込めていたものの、有村圭一郎監督が「タイミングとか、どこで決めるとかいうプランが乏しかったですね」と首を振ったように、攻めながらもCB毛利友哉(1年)を中心に守る大津にほぼゴール前を制圧されて得点することができない。

 大津はなかなか攻め切ることができず、セカンドボールも支配されていたが、前半終盤から徐々に攻撃面の良さを表現していく。正確なパスを繋ぎ、個々の突破力も活かして攻め返すと、34分にはFW大崎舜(1年)の落としからMF松原亘紀(1年)が左足シュート。後半立ち上がりにも松原が左足ミドルを枠へ飛ばした。そして10分、右サイドから交代出場のMF吉瀬大貴(1年)とMF坂口斗麻(2年)が絡んで左中間まで運ぶと、巧みなボールコントロールでDFを外した交代出場MF渡口光彦(1年)が鮮やかな左足ミドルを叩き込んで先制点を奪った。

 神村学園は直後に田畑の突破から高橋が決定機を迎えたが、左足シュートは枠右へ。ともにこの日2試合目で体力的に厳しい試合となる中、後半は大津が渡口が再三右サイドを突破したり、左SB大場秀斗(1年)が決定的な右足シュートを放つなど攻めて、チャンスの数を大きく増やし、2点目を狙っていく。
 
 それでも諦めずに攻め続けた神村学園は32分に中央からの攻撃で同点に追いつく。中盤中央でパスを受けた田畑がスペースを突いたドリブルからスルーパス。これをFW大山尚一(2年)が右足で決めて同点に追いついた。

 土壇場で同点に追いついた神村学園はPK戦でGK冨吉優斗(2年)が先攻・大津の1人目をストップ。4人目のシュートも枠を外れた大津に対し、神村学園は高橋、田畑、CB大迫龍太(2年)、そしてCB愛川陸斗(2年)が決めて4-2で勝利した。

 昨年の神村学園は全国上位と言えるほどの攻撃力を備えた好チームだったが、選手権予選決勝で敗れるなど全国舞台に立つことができなかった。神村学園の有村監督は「(自分自身)攻めに行っているけれど、リスクを考えすぎて攻めの枚数が足りなかったり、結局攻め切れていないという反省があった。今年は勝つんだったら攻め切ろうや、と」。守備のバランスを考えることももちろん大事だが、神村学園は昨年以上にこだわって攻めて、勝つことを目指して新チームをスタートしている。

 テクニックは昨年に比べて劣るかもしれない。だが、今大会はMF原田啓史(2年)ら主軸を欠く中で高橋や田畑が技巧を発揮し、大山やFW中上黎士(2年)の力強い突破などバリエーションある攻撃も見せている。そして攻め続けて4位だった昨年を上回る九州大会決勝進出。高橋は「去年のチームが凄く上手い、凄くいいチームでしたけれど、あれでも勝てなかった。正直全国狙えるんじゃないかといういいチームだった。今年は、去年の先輩よりも上手くないですし、パスも上手くないけれど、ファイティングスピリットというものは上回っていると思っているので、そういうのがきょう出たんじゃないかなと思います」。攻撃力と昨年以上の闘争心も武器に長崎総科大附との決勝を制し、新シーズンの飛躍に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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