beacon

[新人戦]長崎総科大附が初優勝!名将の予想上回るほどの最上級生たちの頑張りで九州タイトル掴む

このエントリーをはてなブックマークに追加

長崎総合科学大附高が九州新人大会初優勝を飾った

[2.13 九州高校新人大会決勝 長崎総合科学大附高 3-1 神村学園高 佐賀県総合運動場陸上競技場]
 
 長崎総科大附が初の新人戦九州王者に! 平成28年度 第38回九州高等学校(U-17)サッカー大会(九州高校新人大会)は13日、決勝を行い、長崎総合科学大附高(長崎1)と神村学園高(鹿児島1)が激突。3-1で勝った長崎総科大附が同校にとって初、長崎県勢としては06年度の国見高以来10年ぶりとなる優勝を飾った。

 長崎総科大附の名将・小嶺忠敏監督は「今年の3年生たちが頑張った」と今年最上級生になる現2年生たちを賞賛した。夏冬の全国大会出場に加え、初参戦したプリンスリーグ九州での無敗優勝や、総体九州大会優勝を果たすなど強さを示した昨年から代が代わり、「新人戦は長崎で勝つと思わなかった」(小嶺監督)という最上級生たち。だが、長崎を制し、今大会準々決勝・熊本国府高戦は後半アディショナルタイムの同点弾とPK戦での勝利によって突破した。そして準決勝では昨年の優勝校である東福岡高に1-0で勝利。昨晩、「大したものだ。立派」と選手を褒めたという指揮官はこの日、まっすぐに取り組んできた成果として一つ結果を出した選手たちの頑張りをまた喜んでいた。

 決勝は開始わずか4分に失点。神村学園に中央の空いたスペースを活用され、MF山路颯汰(2年)に先制点を決められた。だが長崎総科大附は19分、ハイプレスによって敵陣で相手DFのミスを誘うと、インターセプトしたFW西原先毅(2年)が切り返しでDFを外し、そのまま左足で同点ゴールを奪う。畳み掛ける長崎総科大附はさらに1分後の20分、西原のスルーパスに反応したFW荒木駿太(2年)がDFを上手くかわして右足でゴール。連続ゴールで一気に逆転した。

 神村学園は相手のハイプレスと球際の激しい守備を受けてしまう形となったが、怯まない。23分にMF田畑拓武(2年)が単騎ドリブルで持ち込んで右足を振り抜くと、直後にはスルーパスにエースFW高橋大悟(2年)が反応。完全に抜け出した高橋はスピードに乗ったまま、1対1となったGKをかわしにかかったが、身体をいっぱいに伸ばした長崎総科大附GK湊大昂(2年)がワンハンドでボールを抑えてストップした。

 同点のピンチを逃れた長崎総科大附は逆に後半3分、右サイドを抜け出したFW中村聖鷹(2年)が決めて3-1。神村学園は山路やFW中上黎士(2年)が力強い仕掛けを見せるが、相手のプレッシャーの速さの前にビルドアップの中でミスが出るなど、簡単にボールを失う場面も少なくなく、相手の守りを切り崩すことができない。

 一方、長崎総科大附はDF嶋中春児(2年)が相手エースの高橋を徹底マーク。ボールを背に高橋の動きだけを追い続けていた嶋中は中央でも、サイドでも高橋から距離を離さない。多くの時間帯で沈黙させられた高橋は一瞬の隙を突いてボールを受け、攻撃をスピードアップするシーンもあったが、思い通りのプレーをすることはできず。神村学園の攻撃は長崎総科大附のCB田中純平主将(2年)や右DF岩本蓮太(2年)らに跳ね返され、逆に左DF小川大貴(2年)の攻撃参加からピンチを迎えるなど苦しい展開に陥った。33分には高橋の中央突破から中上の右クロスをFW大山尚一(2年)が合わせたものの、得点には結びつかず。5年ぶりのタイトルには手が届かなかった。

 長崎総科大附が快勝で初V達成。昨年からのレギュラーであるGK湊は「去年みたいに前からのハイプレスをかけて全員守備、全員攻撃できるところは完全ではないですけど、できてきているかなと思います」と成長を認め、田中は「厳しい戦いもある中で勝ち切って優勝に繋がったのは大きな自信になっています」と胸を張った。

 絶対エースのU-18日本代表FW安藤瑞季(2年)が同代表のスペイン遠征で不在の中、小嶺監督も「各自の持ち味が出たかな」と語った初優勝。ただし、ここで立ち止まる訳にはいかない。荒木は「この1年は去年の悔しさもあるんで練習中から試合をイメージして腐らずに妥協せず、一日一日を大切にしてやりたいと思います」と意気込み、田中は「まだまだ今年1年始まったばかりですし、今年1年全国で勝つという目標は変わらないので、サニックス(杯、3月)もプリンスリーグも高総体も、一つ一つ気を抜いたら負けるぞという危機感もってやっていきたいです」と誓った。本格的な戦いはまだまだこれから。長崎総科大附は今大会で見えた課題を修正し、今大会帯同していない選手たちとの競争によって逞しさを増して次の目標達成を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

TOP