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[新人戦]急成長遂げている京都廣学館が最高記録更新の京都4強入り

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後半30分、決勝点を奪ったMF仲井翔汰を中心に京都廣学館の歓喜の輪が広がった

[2.19 京都府新人大会準々決勝 京都学園高 0-1 京都廣学館高 太陽が丘陸上]

 平成28年度 京都府サッカー新人大会は19日に準々決勝を行い、京都学園高と京都廣学館高との一戦は1-0で京都廣学館が勝利した。

 2013年度に南京都高から校名変更して以来、急成長を遂げている京都廣学館が新たな歴史のページを開いた。過去最高成績は昨年と一昨年の選手権予選で記録したベスト8。特に一昨年は同じ太陽が丘で洛北高に0-3で敗れており、この日は否が応でも因縁を感じてしまう一戦だった。当時、先輩たちが悔し涙を流す様子をベンチから試合を眺めていたDF大里幸暉(2年)が「2年前に悔しい想いをした場所。この舞台で公式戦をするのは初めてで、僕自身も緊張したし、チームメイトの表情も緊張していた」と振り返ったように緊張もあり、序盤はチームが狙った後方からの組み立てが機能しないまま、試合が進む。

 そうした中で前半に目を惹いたのは廣学館ではなく、京都学園のFW中村太弥(2年)。もう一人のキーマンであるMF宮部幹太(2年)との連係や、強引な突破から見せ場を作ると、前半25分にはゴール前で競り合ったこぼれ球を左に散らし、飛び出したMF井藤侑馬(2年)が強烈な左足シュートを放つ。GKが弾いたボールがゴールに向かったが、廣学館はDFがかき出し、失点を回避して前半を終えた。

 後半は廣学館が交代カードを積極的に切ったことで、「お手の物という形」と指揮官が評するセカンドボールの回収から仕掛ける2次攻撃が力を発揮。京都学園を押し込んでチャンスを作ると、7分にはPA右外でFKを獲得する。MF藤原風雅(1年)がゴール前に入れたクロスのこぼれをFW村尾竜汰(1年)がボレーで狙ったが、GKに阻まれてCKに。その後は再び京都学園の攻撃を凌ぐ時間が続いた。

 均衡が崩せず苦しい時間が続く中、流れを変えたのは1年生アタッカーのFW仲井翔太。時折、持ち味であるドリブル突破を見せながらも、「サイドバックの裏をとって、そこから攻撃をしようと思っていたけど、相手の守備が強くて狙い通りではなかった」と苦しんでいたが、30分に念願の決定機が訪れた。後方からDF近藤広都(2年)が入れた浮き球は相手DFに弾かれたが、MF捧銀河(1年)にあたり、仲井の下へ。素早く寄せた相手をドリブルでかわし、「GKがファーに寄っていたので、ニアを狙った」と冷静に放った一撃がゴールネットに突き刺さり、決勝点となった。

「後ろから見ていたら、『早く打て!』という感じだったけど、凄く落ち着いていた」。そう大里が口にした決勝点は、高校入学以降に始めたフットサルの成果だ。「サッカーに繋がるかもしれない」と小栗監督に薦められ昨年、フットサルの京都選抜の選考会に参加したところ合格となり、この日も前日に京都選抜の一員として、関西大会に出場したばかりだった。加えて、サッカーのトレセン活動にも参加しているため、多忙な日々を過ごしているが、「ゴール前の落ち着きや、相手から遠ざけるボールの持ち方をフットサル学べた」と自らの成長に繋げた結果がこの日の活躍に繋がった。

 「もっと活躍して、注目されたい」と話すように、今季はルーキーイヤーから出場機会を掴んだ昨季以上の活躍を目指している。憧れの選手は昨年、選手権予選の準々決勝で対戦した京都橘高のFW堤原翼(春から京都産業大へ進学予定)。「ボールの持ち方がホンマに上手い。試合で対戦して上手いと思ったし、テレビでやっていた予選決勝のビデオを何度も見ている」ほどの選手に近づくことができれば、自ずとチームもベスト4の先も見えてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)

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