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[新人戦]京都注目カードは東山が久御山撃破!選手層の厚さを証明

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前半25分、東山高はMF國領雄斗が先制点となる右足FKを決める

[2.19 京都府新人大会準々決勝 東山高 2-1 久御山高 東山醍醐G]

 19日に行われた平成28年度京都府サッカー新人大会準々決勝、東山高久御山高の試合は2-1で東山が勝利した。なお、雪の影響のために大会日程が変更された京都新人戦は準々決勝までで終了。準決勝以降は行わない。

 実力校同士がぶつかった注目カードは、序盤から互いの持ち味が発揮された。東山はスピード感のある攻撃からサイドを突いてチャンスをうかがう。守備でも攻守の切り替えが速く、前から奪いに行く狙いが感じられた。対する久御山はパスとドリブルで攻撃を組み立てていく伝統のスタイル。この試合でもボール保持率では上回ったが、相手のプレッシャーの前に敵陣深くまでボールを運ぶことができない。逆にボールこそ相手に持たれものの、自由を与えなかった東山は、序盤から積極的にミドルシュートを放つなどリズムをつかんでいく。

 東山の先制点は25分。中央やや右寄りで直接FKを獲得すると、MF國領雄斗(2年)の右足から放たれたシュートは壁の外側を巻く軌道を描いてネットを揺らした。國領は数分前に流れの中から放ったミドルシュートがポストに弾かれたが、同じ位置からのセットプレーでスコアを動かしてみせた。

 ハーフタイムを挟んで、今度は久御山が反撃に出る。後半開始からFW2人を投入して前線を活性化させ、相手ゴールの近くでのプレーが増えていく。シュート0本に終わった前半とは違ってゴールの可能性が高まっていくが、相手の粘り強い守備をなかなか崩しきれない。ベンチも中盤や前線にフレッシュな選手を送り込むなど打開を図るが、1点が遠い。

 すると、次のゴールは東山に生まれる。後半残り5分を切った31分、右サイドを突いたMF齋藤夏輝(2年)からの折り返しを、ゴール前でFW池田昌生(2年)が押し込んでリードを広げる。久御山も後半アディショナルタイムに途中出場のMF大森愛斗(2年)がエリア外からドリブルで持ち込んでシュート。一度は相手選手に阻まれるも、その跳ね返りを拾った大森が再びシュートへ持ち込んで一矢を報いたが、時すでに遅し。試合はそのまま2-1で東山が勝利し、高校総体予選へのシード権を獲得した。
 
 東山の福重良一監督は勝利を評価する一方で「後半は相手が開き直ってきた。そこをいなせないといけない」と反省点を口にしている。先制点を決めた國領についても守備面での成長を求めるなど、指揮官からは“勝って兜の緒を締めよ”という雰囲気が感じられた。

 ただ、新チームへの手応えはまんざらでもないようだ。この時期は新人戦と並行してジャパンユースプーマスーパーリーグに参加。さらに実力校との練習試合も組むなど精力的に実戦をこなしながらチームを作り上げている中で、この日は主力と期待される選手が負傷やコンディションを落としていることで先発から外れ、代わって先発した選手らが持ち味を発揮していた。前述した國領も、その一人だ。また、成長株がそろう1年生も虎視眈々とチャンスをうかがっており、中盤の一角を務めた倉貫直人(1年)は大会優秀選手に選ばれている。

 1月には連日の大雪警報で延期となったグループリーグ2試合が、練習試合を組んでいた日に組み込まれることがあった。一日で公式戦2試合と練習試合の計3試合をこなすことになったが、選手を割り振りふって決勝トーナメント進出を決めるなど、選手層の厚さを証明している。キャプテンに就任した池田は「昨年の岩崎君のようなスーパーな選手がいない分、一人ひとりがハードワークをしないと勝てない。そこはやれていたと思います」と試合を振り返っている。超高級の選手はいなくとも、攻撃の中心となる池田や、U-15、U-16日本代表経験のあるGK高田侑真など実力者は健在。彼らを軸とした総合力を高めることで、2012年の高校総体出場から遠ざかっている全国の舞台へ今年こそ返り咲けるかどうかに注目が集まる。

 一方、敗れた久御山の松本悟監督は開口一番に「負けやね。前半は内容で負けて、後半は押し込んだけれど…あれじゃ崩せない」と悔しさをにじませた。敗戦という結果よりも指揮官が気になったのは選手の心理面だ。「すぐに“勝ち負け”にいってしまう。もちろん試合に勝つためにプレーしているんやけど、その為になにをすべきなのか」。結果を気にするあまり、日々追求しているプレーの質が下がってしまえば勝利は遠のいていくだけだ。ハーフタイムには自分たちの良さは何かを再確認したことで、後半の反撃につながった。キャプテンを務めるDF中村禄郎(2年)は「久御山らしさが出せなかった。後半は少しよくなったけど、前半は相手に潰されて萎縮してしまったのかな」と課題を語っている。個々の技術を磨き上げ、それをチームとして発揮するのが久御山スタイル。新人戦では敗退となったが、この悔しさを糧とすることが夏以降の躍進につながるはずだ。

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