京都橘高FW梅津凌岳はチームからの期待、意図を明確に理解して、NIKE(「JFA Youth & Development Programme(JYD)」事業の一環)が日本のフットボールに横たわる問題、「得点力不足」を解消するために、”フィニシャーをつくりあげる”ことを目的として開催中の「LETHAL FINISHER MASTERCLASS」に参加している。

　京都橘は京都入りしたU-19日本代表FW岩崎悠人が卒業。絶対的なエースであり、高校ナンバー1ストライカーとも評されていた存在が抜けたことで、チームの得点力低下が懸念されている。卒業する岩崎から直接「ホンマに頑張って」とメッセージを受けたという梅津は、米澤一成監督からも中心選手になること、また1ランク上のフィニッシャーになることを求められている。

「米澤先生には『もっと得点を決めるようになれ』と言われているので、得点決めることについてここでは学んでやっていきたいです」。

　梅津は昨年から古都・京都の強豪、京都橘で10番を背負って注目度を高め、Jクラブへの練習参加も経験してきた。全国高校選手権でも示したテクニカルなドリブル、ラストパスが持ち味。本格派のストライカーではないものの、プリンスリーグ関西で6得点を挙げるなど、高い得点力も発揮してきた。

　その梅津は今年、チームの期待に応えてフィニッシャーとしても躍動する意気込み。また、得点力を高めることが「高校からプロに行くのが目標。(岩崎が目の前にいたので)見やすいというか、間近にいたので意識していましたね」というプロ入りへ近づく術になると感じている。チームからフィニッシャーとして開花することを求められていること、将来のためにゴールが必要なことを理解しているからこそ、あえて新人戦期間中にチームを離れて「LETHAL FINISHER MASTERCLASS」で己の得点力を磨いているのだ。

　全国トップクラスのFWから選ばれた2人のうちの1人として「LETHAL FINISHER MASTERCLASS」に参加している梅津は、2月12日に開催されたDAY1で元日本代表FW久保竜彦氏から課題について指摘された。「もっとボールを速く離して、もっと速くポジショニングを取れと。そして頭の回転をもっと速くと言われました。プロから話を聞くと違う」。また久保氏から思い通りにボールを蹴ったり、プレッシャーの中で正確なプレーをするために、「なわとびとか、素足で足の指で前に進む練習、木みたいなものでつま先を蹴ったり、つま先など足の筋肉の強化を」と筋力面や身体の使い方、立ち方まで改善することを求められていた。

　その久保氏が「清武(弘嗣)みたい」「普通にプレッシャーないところでやっていたら上手いと思う」と評したプレースタイルとテクニック。その梅津はこの「LETHAL FINISHER MASTERCLASS」で学んだことを持ち帰って、意識して日々改善に務めるつもりでいる。すぐに成果は出ないかもしれない。だが、「このトレーニングでシュートが上手くなれたら、選択肢が増えるし、選択肢が増えたら相手にも読まれにくい選手になると思う」。周囲と違う経験によって、周囲と違う進化を。チームの期待に応えるため、目標とするステージに立つために、梅津はフィニッシャーとしての自身をこだわって磨く。

(取材・文　吉田太郎)

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