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10年ぶりの“でんぐり返し”に「懐かしいなー」 覚悟の復帰果たした千葉MF羽生

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10年ぶりに復帰したジェフユナイテッド千葉MF羽生直剛

[3.11 J2第3節 千葉2-0名古屋 フクアリ]

 勝利を収めた選手たちがサポーターの元へと向かう。ジェフユナイテッド千葉が勝利した際に行う“でんぐり返し”のパフォーマンス。10年ぶりに復帰したMF羽生直剛は、当時と変わらぬパフォーマンスでファン・サポーターと喜びを分かち合い、改めて『ホーム』に帰ってきたことを実感した。

 前半44分にDF西野貴治の得点で先制した千葉は、後半12分にMF熊谷アンドリューに代えて羽生をピッチへと送り込む。羽生が千葉のユニフォームに袖を通して、フクアリのピッチに立つのは、08年にFC東京に移籍して以来、実に10年ぶりとなった。その後、後半アディショナルタイムにFW清武功暉のダメ押しゴールが生まれ、チームは2-0の完封勝利。「ピッチに立つときは集中して、やるべきことをやろうという気持ちだった」羽生も、ファン・サポーターに勝利を報告する際には感慨深いものがあったようだ。

「試合が終わって“でんぐり返し”をしたのは10年ぶり。懐かしいなーと思いましたよ。試合に勝ってホッとしたとき、『あー、フクアリに帰ってきたんだ』という気持ちになりましたね」

 今季、FC東京から千葉への復帰を決めた。古巣からオファーが届いたとき、悩む羽生に対し、周囲からはいろいろな意見があったようだが、「これを断ったら、後悔したまま引退するんだなと思った。自分の中で後悔したくなかった」と自身の気持ちに正直になった。37歳を迎えた男にとって、残りのサッカー人生は決して多いとは言えない。その限られた時間で、千葉に復帰して「トライしよう」と決断した。

「最後までチャレンジしたいし、最後まで走りたい。この気持ちを一番活かせるのはどこかを考えた。サッカー人生の中で最後のチャレンジ。自分のチャレンジする気持ちが古巣の昇格に少しでも貢献できればいいという思いで戻ってきた」

 千葉を離れて9年。チームメイトの顔触れは大きく変わり、羽生より一回り以上離れている年下の選手もいる。この中で、自分に何ができるのか――。導き出した答えは「ハードワークすること」だった。「献身性や犠牲心を持ち一生懸命やることで、若い選手に『何でこの人がJ1でやっていたのか』を認めてもらいたいし、『何でこの人がジェフに帰ってきたのか』を分かってもらいたい。そして、ジェフは皆で力を合わせてハードワークして、一つの時代、歴史を作ってきたと思うので、その姿勢を見せられるようにしたい」。自身が走り切る姿を示して、若手にもいい影響を与えられればと考えている。

 そして、10年ぶりにフクアリで勝利を飾ったことで、決意を新たにする。「フクアリはすごくプレーしやすかったし、ファン・サポーターから力をもらえた。素晴らしいスタジアムだと改めて実感した。ファン・サポーターも含めて皆で、ここがJ1の試合ができる場所にしたいと改めて思った」。サッカー人生を賭けて復帰を決断した37歳は、千葉が“いるべき場所”であるJ1に昇格させるため、全身全霊を懸けてシーズンを戦い抜こうとしている。

(取材・文 折戸岳彦)
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