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[MOM2062]阪南大高GK太田航生(新2年)_”ガチになった”186cmGK、序列逆転させるか?

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阪南大高GK太田航生

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.12 アンブロGACH1-TR【ガチトレ】キャンプ G大阪ユースA 1-2 阪南大高 J-GREEN堺]

 対戦相手はプレミアリーグWESTを制した経験もあるガンバ大阪ユースのAチーム。今年、初めて同じ舞台に立つ阪南大高にとっては格上と言える存在で、簡単にマークを外されてヒヤリとする場面は試合開始から何度もあった。それでも、1失点に抑え、勝利を手繰り寄せることができたのは、今年に入って急成長中の守護神GK太田航生(新2年)の存在が大きかった。

「パス回しのテンポが速くて、味方が崩されてピンチになることが多かった」と振り返ったように、何度もゴール前への飛び出しを許し、GKとしては楽な試合ではなかった。前半13分にはクロスからヘディングシュートを許して先制点を奪われたが、以降は父親譲りという186cmの高身長を活かしてハイボールをきっちりと処理。地上戦でも、「DFラインを信用して、出るところは思い切って出ることができた」と振り返ったように、相手に突破を許しても巧みに距離を詰めて2点目を与えなかった。インパクトの大きさでは終了間際に決勝点を奪ったFW高津成央(2年)に劣っていたかもしれないが、最後尾で耐え忍んだ太田の活躍もこの試合のポイントだったことは確かだ。

 上背に恵まれた将来性豊かな守護神だが、濱田豪監督が「今年になって、やっとサッカーに対して真剣になってくれた」と苦笑いするように、ルーキーイヤーの昨年は陽の目を浴びる存在ではなかった。中学時代は大きな身体を活かして、決定機を防いできたが、高校に入ってからはライバルが増え、緊張感と“活躍しなければ”というプレッシャーから思うようなプレーができなかった。サイズはあるが、GKにとってもう一つ大事な俊敏性が足りず、中島亮GKコーチから厳しい指摘をされたことは一度や二度ではない。

 だが、昨年の選手権予選が終わり、新チームがスタートしてから「このままではサブのままで終わってしまう」と負けん気に火がついた。今年の代は上級生にGKはおらず、同級生のライバルである小出勘太との争いに勝つことができれば試合に出られるが、立ち上げ当初の序列が下だったことは明確。立場を逆転させるために、少しでも身体が動けばと試合前のストレッチと試合後のケアをこれまでよりも意識して行うようになった。

 変化の兆しはすぐに表れ、今年に入ってからは中島GKコーチから褒められる機会も増えた。つい最近になって、ようやくスタメン出場の機会が訪れたばかりで、まだ小出と同じ土俵に立っただけに過ぎない。フィードの面など課題もあるが、今でも伸び続ける身長など魅力も多く、立場が逆転する可能性はこれから十分にある。「小出との争いに勝って、プレミアでスタメン出場したい」と意気込むGKの今季にかける想いは人一倍強い。成長速度を落とさず守護神の座を掴み取るつもりだ。

(取材・文 森田将義)

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