beacon

[サニックス杯]広島ユースが退場者出した市立船橋を撃破!好機逸すも、「全体」で守って得点許さず

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半25分、サンフレッチェ広島ユースはMF仙波大志のPKで先制

[3.17 サニックス杯予選リーグ第3節 市立船橋高 0-1 広島ユース グローバルアリーナ]

 17日、「サニックス杯国際ユースサッカー大会2017」(福岡)予選リーグ最終節で2戦2勝の市立船橋高と1勝1敗(PK負け)のサンフレッチェ広島ユースが対戦。広島が1-0で勝ち、逆転1位でのサニックス杯決勝トーナメント進出を決めた。グループ2位の市立船橋も決勝トーナメントへ進出する。

 昨年の全国高校総体優勝校の市立船橋とプレミアリーグWEST優勝の広島ユースがグループ首位を懸けて行った“ガチンコ対決”。序盤から互いが高いスキルと個を活かした崩しでシュートチャンスを作り合う展開となった。

 試合は25分に大きく動く。よりボールを握って攻めていた広島は左サイドから4人が連動した崩し。PAへ飛び込んだMF仙波大志を激しく競り合った市立船橋DF今村直也が手を使って倒してしまう。広島にPKが与えられたと同時に今村は一発退場。自らキッカーを務めた仙波が右足で決めて広島がリードを奪った。

 数的優位を得た広島は左利きのゲームメーカー・川村拓夢とMF川井歩のダブルボランチを中心にゲームをコントロール。相手がわずかに届かない位置へ絶妙な配球を見せる川村や仙波のキープ力など個の力も活かしながら連動した攻撃を見せる広島は、幅を使った攻撃によって市立船橋の守りを広げると、FW明比友宏主将やFW桂陸人がスピードを持ってPAへ侵入してシュート、ラストパスへと持ち込んでいた。

 広島は後半開始直後に明比のラストパスから仙波がクロスバー直撃の右足シュート。他にもシュートチャンスを何度も作ったが、市立船橋の守りに綻びは見られず、またシュート精度を欠いたことによって2点目を奪うことができない。広島MF川村が「10人になっても相手は特長を出してきたので凄く難しかったですね」と振り返ったように、市立船橋はまずは守りを安定させつつ、守備センス高い郡司らがボールを奪うと複数の選手が絡んでのカウンター。広島相手にもキープ力を見せる左SB杉山弾斗主将や一瞬のキレでDFをかわすFW福元友哉が局面を破ってクロスまで持ち込むなど、広島DFにプレッシャーをかけた。

 7分には左サイドの杉山からのラストパスをMF井上怜が左足ダイレクトでフィニッシュ。20分には左サイドを突破した杉山の折り返しを郡司が左足ダイレクトで叩く。そして27分には左サイドから1タッチパスを交えた崩しでMF千葉隆希が抜け出しかけたが、広島DF渡部快斗の懸命の守りによってシュートまでは持ち込むことができなかった。

 広島は市立船橋のカウンターを受ける機会が幾度かあったが、DF里岡龍斗大越寛人、渡部らそれぞれが責任感を持って阻止。追加点こそ奪うことはできなかったものの、決定打を打たれることなく1-0で競り勝った。広島の沢田監督は「危機感を共有できたのは大切。敬介の存在感やビッグセーブだけでなく全体で守る。それが2年生も出てきた」と語っていたが、チームはU-20日本代表の注目守護神であるGK大迫敬介のビッグセーブに助けられることなく、完封勝利。主将の明比は「最後の方、難しくなった中でチーム全体で声出してゼロで抑えたのはいいと思う。でも、もっと上に行くために、強いチームになるために、もう一点取れるようになりたい」。全員で守り勝ったことを喜ぶ一方で、より強いチームになるための課題を指摘していた。
 
 下級生時からの主力が多く残った今年、広島は周囲からの評価高いが、簡単に勝つことができるとは考えていない。年代別日本代表やU-18Jリーグ選抜の選手が不在だった2月の練習試合で鳥栖U-18に1-6で敗戦。それだけに選手達は気を緩めること無く、日常から意識高く成長を目指している。沢田監督は昨年からさらに積み重ねる部分として「一番はアグレッシブに行きながらとか、そういうことを一つ一つやっていきたい。アグレッシブな中でも入れ替わらないとか、カバーできるとか、独りだけでやらせない、そういう点を繋げていきながらも、個のレベルを頭も含めてやらないといけないと思っていますね。そのためにもこういう試合とか練習が大切。今日も緊張感あるいい試合で、こういう試合を続けたい。危ない場面もあったけれど、あそこで(無失点のまま)終わり切らすとかが大切。そこができることが一番いい練習ですし、そこが増やせるように努力していきたいですね」と語った。

 明比は「(チームとしては)優勝とか先のことはあまり考えないで、目先の一試合一試合を集中してできるかが大事。(プレミアリーグは優勝候補に挙げられているが)下手したら降格もあると思う。目の前の試合を大事にしていきたい」と語った一方で「トップに行きたいという気持ちがある。このチームに来たのは日本一になりたいとかではなく、プロになることが一番だと思うのでこのチームで勝っていくことも大事だけど、個人として上に行けるように意識してやっていきたい」と目標を掲げたように、各選手にとって第一目標はトップチーム昇格。それを実現するためにそれぞれが他のチーム以上にトレーニング、試合を通して成長し、チームも強くする。

(取材・文 吉田太郎)

TOP