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[サニックス杯]代表、U-23組不在も個々が「好感度高い」全力プレー!FC東京U-18が前橋育英にPK戦勝利!

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PK戦のヒーロー、GK大本竜司を讃えるFC東京U-18イレブン

[3.17 サニックス杯予選リーグ第3節 FC東京U-18 1-1(PK4-2)前橋育英高 グローバルアリーナ]
 
 17日、「サニックス杯国際ユースサッカー大会2017」(福岡)予選リーグ最終節で16年度の日本クラブユース選手権(U-18)大会とJユースカップ優勝のFC東京U-18と全国高校選手権準優勝の前橋育英高が対戦。1-1で突入したPK戦の末、FC東京が4-2で勝った。FC東京は3連勝、Group D1位でサニックス杯決勝トーナメントへ進出。一方、PK戦負けで勝ち点1.5を積み上げた前橋育英も1勝2敗のGroup 2位でサニックス杯決勝トーナメントへ駒を進めている。

 自力で予選リーグ2位以内に入るために白星を掴みたい前橋育英に対し、FC東京も敗れれば下位トーナメントに回る可能性のあった大一番。FC東京は主将のDF岡庭愁人やMF平川怜、MF久保建英ら年代別日本代表組やU-23チームへ招集されている選手計8名が不在だったが、「最高のシチュエーション」(佐藤一樹監督)という試合で白星を収めて見せる。

 A戦での経験値がわずかな選手もいた影響か、試合は立ち上がりから多彩な攻撃を見せる前橋育英に押し込まれる展開に。ともにキレのある動きで最終ラインを強襲する日本高校選抜FW飯島陸とFW五十嵐理人の2トップにシュートまで持ち込まれた。

 序盤は相手の勢いをやや受けてしまった感のあったFC東京だが、徐々に慣れると連動した崩しからFW吉田和拓やMF芳賀陽向がチャンスを迎えるなど攻め返す。そして28分、吉田が身体を張って繋いだボールをMF荒川滉貴がループパス。これで相手の背後を取ったFW今村涼一が左足ダイレクトで先制点を決めた。

 だが、前橋育英は33分、DFラインの背後へ抜け出した飯島がループシュートを沈めて同点。前橋育英は後半、前線で存在感示す飯島のラストパスや突破、また右SB後藤田亘輝のクロスからMF田部井悠や五十嵐が決定機を迎える。だがFC東京は「(3月の)プーマカップで負けているのでそのリベンジという面でも集中力が高かった」というCB篠原新汰が決定的なピンチをスライディングタックルで防いだり、GK大本竜司が好セーブを見せるなど阻止。またPAまでボールを運ばれても、左SB長谷川光基やCB高橋亮が簡単には決定打を打たせない。球際、ハードワークという“FC東京らしさ”を良く表現していた。

 70分間を同点のまま終わればGroup首位の決まるFC東京は、タイミング良く抜け出したFW吹野竜司がシュートを見舞うなど次の1点を狙いつつ、落ち着いて試合をコントロールする。前橋育英は山田監督が「もっともっとシュートの精度を上げていかないと」という課題の出る試合となり、1-1のまま70分間を終了。直後のPK戦ではGK大本が2人目と4人目を見事に止めてFC東京が4-2で勝利した。

 FC東京はチャンスを得た選手たちが期待に応える形で勝利。佐藤監督は「一生懸命、必死にボールに食らいつくとか、自分の良さを出すとか、好感度が高い、高校生らしいいいプレーを見せてくれたと思います。本当に今度(代表、U-23組がいる中でも)絡んで来るのかなと思った選手もいましたし、高い集中力で張りのあるゲームもできるんだなという選手もいました」と収穫の多い試合を喜んでいた。

 昨年に続き、今年もプレミアリーグや東京都1部リーグを戦うと同時に、U-23チームの一員としてJ3を戦う選手もいるという厳しいスケジュールの中での1年となる。その中で佐藤監督は「まさにさっき一緒にやっていた選手が明日J3で活躍するかもしれない。それが当たり前の環境になっていることは凄いことだと思う」。各選手達が高校生でJ3を経験できる可能性を感じながらの日々。それが個々の意識を高めていることは間違いない。

 チームとしては昨年の2冠を越える3冠獲得が目標だ。篠原は「まずは目標として掲げているのは3冠というところなので、3冠取るためには何をしなければいけないのかという逆算の下、球際とか、ハードワークという幹となる部分はブラさずに、今年はサイドの攻撃が特長だったりするのでそういう色を出していきたい。去年(課題として)思ったのは立ち上がりのところ。後手を取らずに先手を取ることは意識していきたい」と誓っていた。

 一方、敗れた前橋育英はCB角田涼太朗やCB松田陸、左SB渡邊泰基、右SB後藤田、FW飯島、MF田部井悠、そして新主将のMF田部井涼と全国高校選手権決勝を経験した7選手を残す期待の世代。だが、その決勝では決定機を活かせず、逆に青森山田高にシュート8本で5得点を奪われて敗れた。山田耕介監督は「(悔しさを)すぐに忘れてしまう。『青森山田に5点ぶっこまれたこと忘れているのかよ』と、言っている。それを言い続けていく」。この時期としてはレベルの高いチームになっているが、そこから少しでも力を積み上げて、突き詰めていかなければならない。まだまだ甘さのあったというここまでから変わって、より強いチームとなって本格的なシーズン開幕を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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