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「謝らないといけなかった…」 FC東京FW大久保、“みそぎ”の移籍後初ゴール

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移籍後初ゴールを記録したFC東京FW大久保嘉人

[3.18 J1第4節 FC東京3-0川崎F 味スタ]

 ようやく生まれた移籍後初ゴール。ネットを揺らしたことを確認したFC東京FW大久保嘉人は、すぐさまサポーターの元へと駆け寄ると、両手を合わせて“謝罪”した。

 前節のG大阪戦では自身がPKを失敗するだけでなく、チームは0-3の完敗を喫した。試合後には投げ捨てたユニフォームを蹴り上げてしまい、ファン・サポーターから非難を浴びた。その後、大久保は自身のブログを更新し、「支えてくださっている方々、一緒に戦っている仲間に対して、申し訳なく思っています。あれはやってはいけない行為だったと反省しています」と謝罪していた――。

 迎えた古巣・川崎Fとの多摩川クラシコ。前半をスコアレスで折り返して迎えた後半31分、大久保のパスをPA内で受けたFW阿部拓馬の積極的なプレーが相手のオウンゴールを誘って先制に成功すると、同41分にはDF太田宏介のクロスをFWピーター・ウタカがダイレクトで合わせてネットに突き刺し、リードを2点差に広げた。そして、後半アディショナルタイムに待望の瞬間が訪れる。

 相手のクリアミスを拾った大久保はウタカに預けると、「ウタカは練習のときから『嘉人の近くにいる』『嘉人に俺がパスを出す』とずっと言っていてくれた」と、チームメイトを信じてPA内へと走り込む。ウタカからリターンパスがきっちりと届けられると、目の前には昨季までのチームメイトであるGKチョン・ソンリョンが立ちはだかった。「ソンリョンは俺がどうやって仕掛けてくるか絶対に分かっている。どうしようと思ったし、ヤバいなと思った」ものの、冷静に動きを見極めて「ソンリョンが寝るまで待った」。そして、左に持ち出してチョン・ソンリョンをかわすと、無人のゴールに左足で流し込んで移籍後初ゴールをマークした。

 向かった先はサポーターの元だった。背番号13は両手を合わせて、頭を下げる。「点を取って本当に謝らないといけないと思っていた。いつもは古巣から点を決めたときは喜ばないけど、ああいうことをしてしまったので謝らないといけなかった」。すると、ファン・サポーターは大歓声で大久保を迎え、チームメイトはGK林彰洋までもが相手ゴール裏まで駆け寄ってストライカーの移籍初ゴールを祝福。誰もが待ち望んでいたゴールだったことが、この光景で証明された。

「チームメイトも一つになってくれたので、本当にうれしかった」と白い歯を見せた点取り屋は、移籍後初ゴールに「いつか入ると思っていたけど、すごく楽になった」と胸をなで下ろす。そして、「ゴールを決めてサポーターに喜んでもらえるように、もっともっと良くしていきたい」とさらなるゴール奪取を誓った。

(取材・文 折戸岳彦)
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