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「やり切れない断腸の思い」「膝にメスを入れる可能性は高い」…苦渋の表情の長谷部

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練習後、報道陣の取材に応じるMF長谷部誠

 無念さを抑えることはできなかった。日本代表からの途中離脱が決まったMF長谷部誠(フランクフルト)は「大事な試合の直前にチームを離れることになってしまい、監督、チームスタッフ、代表選手、そして心配してくださるすべての方々に本当に申し訳ない」と言葉を振り絞るように言った。

 11日のバイエルン戦で相手シュートをクリアしようとしてポストに激突。その際に左すねを6針縫う裂傷を負い、右膝も負傷した。当初は左すねの痛みが強かったため、右膝の負傷には自分でも気づかなかったというが、「相当高い確率で、そのときに負ったケガだと思う」と説明した。

 16日にフランクフルトの練習に合流したときに初めて右膝に痛みを感じ、「練習で40、50%しか動けなかった」ため、17日にMRI検査を受けたところ、チームドクターから半月板損傷の疑いで手術の必要性があることを知らされた。

 その後、19日夜に日本代表に合流し、代表ドクターにセカンドオピニオンを求めた。すると、フランクフルトのチームドクターと見解は一緒。「内視鏡を入れてみないと分からない」という診断であり、「この2、3試合でキミのサッカー人生に影響を及ぼすリスクを負わせるわけにはいかない」という意見だった。今後は日本でもう一人のドクターに診てもらい、サードオピニオンを得るつもりだという。

 UAE合宿2日目のこの日は練習に参加せず、ピッチの端から念を送るように全体練習を見学した。チームを離れる前に報道陣に対応し、「悔しい気持ちもあるし、割り切れない部分もある」と苦渋の思いを吐露。それでも、「仲間を信じている。チームへの影響はそれほどないと考えているし、経験のある選手が自覚を持ってやってくれる」と、託すように力強く言った。

 一方で、ブンデスリーガで今季見せていた絶好調ぶりの背景には、昨年9月に1-2で敗れたUAE戦があったことも明かした。

「W杯最終予選の初戦、ホームでUAEに敗れた悔しさを取り払うためにこの場所に来ようと思っていた。その強い気持ちがあったから今シーズン、非常に良いプレーができていた。個人的にはやり切れない、断腸の思いです」

 日本でサードオピニオンを受けてから最終的な判断を下すが、「(回復まで)どれくらいかかるかなどは分からないが、状況的には膝にメスを入れる可能性はかなり高い」と、つらそうに言った長谷部。その険しい表情が無念さを一層際立たせた。

(取材・文 矢内由美子)

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