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長谷部の17番を背に躍動の今野「荷が重すぎて付けたくなかった」

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試合後、笑顔を見せるMF今野泰幸

 背中には見慣れない番号があった。2年ぶりの代表復帰を果たしたMF今野泰幸(G大阪)は慣れ親しんだ背番号15ではなく、背番号17のユニフォーム姿でピッチに立った。

 負傷離脱したMF長谷部誠の番号。「付けたくなかった。荷が重すぎて。何番でもいいけど、キャプテンの番号だから嫌だった」。思わず苦笑いしたが、本音だっただろう。それでもピッチ上の背番号17は、まるで長谷部の思いも背負うように攻守に躍動した。

「本当に不安もあった。全然一緒にプレーしていないし、連係もくそもない。難しさはあったけど、自分の良さというか、走って、相手をつぶしてというシンプルなプレーを心がけた」

 ハリルホジッチ監督は従来の4-2-3-1ではなく、中盤を逆三角形にした4-3-3のシステムを採用した。MF山口蛍をアンカーに置き、前方に今野とMF香川真司が並ぶ中盤の形はG大阪と同じ。指揮官は「この3試合、今野がガンバでどんな試合をしたか追跡した。そこで私にアイデアが湧いた」と、G大阪の戦いにインスパイアされたことを明かした。

 とはいえ、G大阪の3バックに対して日本代表は4バック。中盤の形は同じでも「ガンバとも違うポジション」(今野)というのが選手側の受け止め方だった。それでもUAEのキーマンであるMFオマル・アブドゥルラフマンを封殺。「(試合に)入る前は不安もあったけど、試合に入ったらプレスもハマって、オマルから出たパスを奪ったりもできた」と、急造の布陣で無失点に抑えた。

 1-0の後半6分には今野が「出来過ぎですね。奇跡です」という追加点。FW久保裕也の右クロスにファーサイドから走り込み、胸トラップでボールを落とすと、右足でGKの股間を抜き、ゴールネットを揺らした。

「久保がスピード、コース、場所、すべてピンポイントに出してくれた」。そうアシストに感謝すると、「胸トラップしたらフリーすぎて、そのあと焦ってしまった」と苦笑い。GKの股間を抜いたシュートについても「狙ってない。とにかく枠に飛ばそうと。あれだけフリーで股間は狙わないでしょ」と照れ笑いを浮かべた。

 15年3月31日のウズベキスタン戦以来、724日ぶりの代表戦。2年のブランクを感じさせない圧巻のパフォーマンスで、その存在をあらためて示した。当然、今後の代表定着、さらには来年のロシアW杯本大会も視野に入ってきたが、本人は「(今後の代表については)考えられない」と一蹴。「呼ばれたら1試合ずつ。練習でも監督のサッカーは全然できてない」と、34歳のベテランはどこまでも謙虚だった。

(取材・文 西山紘平)

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