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試合を決定づける選手へ…NIKEがフィニッシャー限定プログラムを実施! ゲストコーチの鳥栖MF鎌田大地が参加者にエールを送る

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鎌田大地がスペシャルコーチとして登場

 NIKEが『JFA Youth & Development Programme(JYD)』事業の一環として、日本のフットボールに横たわる問題、「得点力不足」を解消するために“フィニシャーをつくりあげる”ことをテーマに『NIKE ACADEMY TOKYO』を20日にレッズランドで開催した。スペシャルコーチにはサガン鳥栖で活躍するMF鎌田大地が登場し、全国から集まった29名の選手たちに、試合を決定づけるフィニッシャーになるためのヒントを授けた。

 JYDとは、日本サッカー協会(JFA)が継続的な日本サッカーの発展ために、さらなる普及や次世代選手の育成を促進することを目的としたプロジェクト。昨年1月から始動し、同12月にNIKEの協力を得てJYD対象事業に、イングランドを本拠地とし、世界トップクラスの施設でエリートコーチや栄養士のほか、各分野の専門スタッフの指導やアドバイスを受けることができる育成機関『NIKE ACADEMY』のトレーニングメソッドを導入したプログラムを実施していくことを発表した。

 その一環として今回、フィニッシャー育成のためのプログラム、世界基準のアタッキングメソッドを29名の選手たちが体験。最初に行われたクラスルームセッションでは、ドイツ・ブンデスリーガのブレーメンでトレーナー経験がある鈴木友規アスレティックトレーナーから『アスリートに必要な姿勢作り』をテーマに講義が行われた。日本人は猫背が多く、技術を重視する傾向にあるが、効率良くパフォーマンスを発揮するためには、姿勢や動きの質を向上させることが必要だという。それをベースに筋力やパワー、技術を磨いていかないと、パフォーマンスの質を上げることはできない。そのため、サッカーをやっていない時間から良い姿勢を意識していくことが大事だと説明を受けた。

 その後、場所をフィールドに移して行われたフィールドセッションでは、マークされた相手を動かし、パスを受けてシュートを決めるトレーニングや、味方のダイレクトプレーにタイミングを合わせ、守備ラインを突破してフィニッシュに持ち込むトレーニングが行われ、オフ・ザ・ボールの動き、ボールの受け方を学び、シュート時の決断の早さなどが求められた。参加した選手たちは、パスを受けるときに必要以上に動き回ったり、自分のタイミングでパスを引き出すことができず苦戦していたが、『NIKE ACADEMY』の小島直人コーチや鎌田のアドバイスを真剣に聞き、最小限の動きでパスを受けることができること、パサーとのコミュニケーションやハッキリとしたアクションが必要だと学んだ。さらにその後行われた3対3では鎌田が手本として実演し、相手の逆を取って、股下を抜くシュートを放つなど、プロとして色々なシュートパターンを披露した。

「シュートはやっぱり最終的に感覚ですね。シュートエリアに近いタイミングで一回キーパーの位置をしっかり見て、あとは難しいかもしれないですけど、本当に僕も点を決められるときは何も考えていないですし、自分のやってきた練習の積み重ねだと思いますが、経験というか、ここに蹴れば入るという感覚ですかね。本当にシュート練習をしていくしかないと思います。練習の積み重ねが大事です」

 練習の大切さを伝えた鎌田は、最後の挨拶で「今日は色々、練習しましたが、人それぞれスタイルがあると思うので、自分に一番あったやり方、しっかり自分の形を探してサッカーをやってほしいと思います。自分の形を作って、それを磨いて、いつか同じ舞台でやれたらいいなと思います」とエールを送った。さらに「高校生のときに重点的にやっていたことは?」との質問を受け、「サッカーは全身を使ってやるスポーツです。僕の高校(東山高)でも対人の練習が多かったので、どうやったら相手をかわせるか、手や足の使い方をYouTubeでプレー集を見ながら、こういう時にはこうやっているんだというのを見て、練習で実践して、自分にあったのを取り入れていました」と当時を回想した。

 トレーニングを終えた選手たちは、疲れた中にも何かを掴んだ表情をみせていた。2015年の滋賀県国体選抜メンバーであるFW奥山大輔(比叡山高)は、「相手の動きを見る習慣をつけないとダメだと思いました。1対1のときも抜き切って打つイメージでしたが、(マークを)剥がして打つ、抜き切らなくてもシュートを打てるということを教えてもらったので勉強になりました」と笑顔をみせた。

 今年度の全国高校サッカー選手権大会で準優勝を果たした前橋育英高の登録メンバーに入っていたMF八代廉也は、「試合を決定づけられる選手になりたい」と思って参加。「チームとは違って、受けるこだわりなどをプロの鎌田選手から聞けたのでいい刺激になりました」と振り返った。また、同年度の選手権に出場したFW星野黒拓実(富山一高)は、「シュートを外していたのでもっと練習しないといけないと思いました」と課題が浮き彫りとなったが、「自分の考えていないプレーを鎌田選手がたくさんやっていました。それを盗んでやろうと思います」とニヤリ。今後の成長につながるヒントを得たようだ。

「少しでも爪痕を残す気持ちで取り組んだ」と語るMF池田昌生は、鎌田の母校である東山高の選手だ。「憧れている選手の一人ですし、動画を見たりしています。ゲストコーチと聞いたときにはビックリしました」と先輩の登場に驚いたという。トレーニングでは、「前を向いたときに相手を剥がすまでは行けるけど、最後にシュートを決めきる部分が難しかった」が、この経験を生かしてフィニッシャーとして成長を遂げるつもりでいる。「自分がチームの中心となって、特に攻撃で引っ張っていける選手、自分がチームを勝たせるような選手になっていきたい」と思いを新たにした。

 参加した選手たちはそれぞれ新しい刺激を受けて帰路に就いた。わずか1日だったかもしれないが、自分でうまくなりたいと思って一歩踏み出したことは、成長への大きな一歩となったはずだ。ここで体験した世界基準の感覚を忘れず、練習から磨き続け、フィニッシャーとしてチームを勝たせる、試合を決定づける選手へと成長することを、鎌田や指導にあたったコーチたちが願っている。

(取材・文 清水祐一)

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