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本当に厳しさある集団、勝つことにこだわる集団になるのはこれから。日本高校選抜候補は専大に敗戦

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1本目19分、日本高校選抜MF金子大毅が右足ミドルを打ち込む

[3.26 練習試合 日本高校選抜候補 0-1 専修大]

 26日、4月8日からの欧州遠征で第55回デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)に出場する日本高校選抜候補が静岡県内で専修大と練習試合(30分×3本)を行い、0-1で敗れた。日本高校選抜候補は27日まで静岡県内で選考・強化合宿を実施。4月7日、8日の直前合宿を経て欧州遠征に出発する。

 試合前、黒田剛監督(青森山田高)からは5つのコンセプトが伝えられていた。「攻守において対人プレーで負けない」「前線からのハイプレスを質を落とさずにやる」「中盤でボールを奪った後をチーム全体で意識し、実践する」「ゴール前の守備」「結果(勝利)にこだわる」という5点。だが、指揮官や選手達が感じたその達成率は50、60パーセントほどで、試合も敗れてしまった。

 1本目、4-5-1システムを組んだ日本高校選抜候補のGKは山ノ井拓己(静岡学園高/3年、福岡)、4バックは右SB三國スティビアエブス(青森山田高/3年)、CB佐藤瑶大(駒澤大高/3年)、CB阿部海大(東福岡高/2年)、左SB杉山弾斗(市立船橋高/2年)。中盤は主将のMF住永翔(青森山田高/3年)とMF金子大毅(市立船橋高/3年)のダブルボランチで右MFが飯島陸(前橋育英高/2年)、左MFが鳥海芳樹(桐光学園高/3年)、トップ下が町野修斗(履正社高/2年)、1トップは安藤瑞季(長崎総合科学大附高/2年)が努めた。

 雨もあってか、立ち上がりから集中力を欠いたようなプレーが散発していた高校選抜。住永が「自分のプレー、自分のプレーになりすぎて、合わせようという気がなかった訳じゃなかったと思うんですけど、個のミスが多かったです」と振り返ったように、難しいプレーを選択してボールを失ったり、警戒されているところへパス出してカットされたり、トラップミスなどのパーソナルミスも目立った。

 専修大はA2メンバーだったものの、守備の統率が取れていて隙がない。また、高校選抜は相手の正確な攻撃の前にDFラインが押し下げられてしまい、奪ってもなかなかいい形での攻撃に持ち込むことができない。町野や安藤がスペースを突く動きを見せるものの、シュートを打てないまま時間が過ぎていった。

 19分には金子のシュートブロックでピンチを逃れ、直後にはCK後の混戦から押し込まれそうになったが、ここもGK山ノ井が何とか切り抜けて得点を許さない。逆に20分には日本高校選抜にチャンス。速攻から住永のパスを受けた金子の右足ミドルがゴールを捉えたが、シュートはGKの好セーブに阻まれた。三國の右クロスに飯島が飛び込み、金子が高い位置でボールを奪ってからショートカウンターを繰り出すなどあわやのシーンも作ったものの、0-0で1本目を終えた。

 2本目、日本高校選抜は飯島に代えて左MFに松本泰志(昌平高/3年、広島)を投入。鳥海を右サイドへ移した。松本と住永のワンツーから鳥海がシュートへ持ち込むなど1点を目指して攻めたものの、先制したのは専大の方。11分、専大はCK後のクリアボールをPAで繋いで押し込んだ。高校選抜は17分、町野に代えてFW伊藤龍生(米子北高/3年)を投入。住永のパスを伊藤がそらして松本がシュートを狙ったほか、終了間際には両サイドからクロスへ持ち込んだものの、中央で合わせることができない。

 3本目、高校選抜は杉山、佐藤、阿部、鳥海に代えて、右SBに常盤悠(尚志高/3年)、CBに橋本恭輔(青森山田高/3年)、ボランチに大塚諒(前橋育英高/3年)、右MFに飯島を投入。三國が左SB、金子がCBへ移った。その3本目、ベンチスタートでアピールに燃える選手達がチームを活性化。過去2本に比べて球際での必死さも出ていた高校選抜は橋本の好パスや常盤、三國の攻め上がりなど両サイドから専大を押し込む。そして松本や三國がカットインからシュートへ持ち込み、24分には安藤が縦に仕掛けて右足シュート。それでもゴールを破るには至らず、無得点で敗れた。
 
 強い雨の中での試合だったこともあってか、試合後、選手、スタッフからは元気の無さを気にする声があった。GK山ノ井は「もっと全員がやる気持って声出してやっていければ。みんな高校3年間チームのリーダーとしてやっていると思う。その良さを出せれば大学生でも海外でもやれると思う。もっと出していきたい」と語り、住永は「3本目は、みんなで合わせようとしていたけれど、1本目のはじめからやらないといけない」と指摘していた。

 各選手、スタッフがまずチームに馴染むことに重点を置いてチームを作ってきたが、これからは互いが指摘し合いながら、勝つことにこだわる集団へと変えていく。黒田監督は「ゲームの中だけを構築する訳ではないので、24時間というものをゲームに向けて行くような厳しさとか、集中力とか、もちろんコンディションのところもそうだけど、本当にみんながこだわってやれるような集団づくりを、もっと高いレベルで要求していく」。今後はピッチ外から自主性高い集団となって欧州へ。そして、欧州、南米の強豪と戦うデュッセルドルフ国際ユース大会で頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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