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[UAチャレンジカップ]“優勝決定戦”で5発快勝!明秀日立が勝負と育成にこだわって頂点に

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笑顔で優勝を喜ぶ明秀日立高イレブン

[3.29 UAチャレンジカップ 明秀日立高 5-1 聖光学院高 いわきFCフィールド]

「革新的なサッカーイベントを通じ、ユース期において必要とされる様々な情報、知識を提供することで、世界に通用するサッカー選手を育成し、サッカー界繁栄の一助とする」という理念の下で開催されている「アンダーアーマーチャレンジカップ 2017 SPRING」は大会最終日の29日、リーグ戦最終節で首位の明秀日立高(茨城)と勝ち点1差で2位の聖光学院高(福島)が激突。優勝を懸けた首位決戦を5-1で制した明秀日立が4勝2分で優勝した。

 明秀日立の萬場努監督は「新人戦が両校優勝だったので決勝戦でちゃんと勝つという訓練として、新人戦の反省ができるとみんなで共通の認識でいた。新人戦はダラダラと入っちゃったのがあった。(今大会は)勝負にこだわろうというのが見えたので良かった」と微笑んだ。

 まさに決勝戦とも言える決戦は明秀日立が先制パンチを浴びせる。前半3分、FK後の混戦からFW湯澤涼(新3年)が右足シュートをゴール左隅へ突き刺す。幸先良く先制した明秀日立に対し、聖光学院はキーマンのMF坪佳侑(新3年)が試合序盤に負傷交代するアクシデント。聖光学院陣内へ押し込んだ明秀日立は、16分にも抜群のスピードで抜け出したFW二瓶優大(新2年)がゴールマウス直撃のシュートを放つ。

 勢いに乗ったまま試合を進めた明秀日立は18分、湯澤のスルーパスで左中間を抜け出したFW及川央泰(新2年)が絶妙なラストパスを入れると、走り込んだ二瓶が1タッチでゴールへ沈めて2-0とした。

 このあと、互いにチャンスをつくり合った両校だったが、決めきれずに前半終了。それでも後半開始わずか50秒、聖光学院は左スローインからやや弾んだボールをMF中島悠吾(新3年)が右足で強振する。圧巻の弾道を描いたミドルシュートがGKの頭上を越えてゴールへ。衝撃的な一撃によってスコアは1点差となった。

 聖光学院はさらに5分、左サイドからの崩しでフリーのFW須藤祐斗(新3年)がシュート。だが、明秀日立GK木村謙一(新2年)のビッグセーブにあうと、こぼれ球を繋いでから須藤が再び放った一撃も明秀日立DFにブロックされてしまう。坪に代わって入った中島のダイナミックなドリブルやMF山口輝久主将(新3年)のスペースを突く動きなどによって、勢い緩めずに反撃した聖光学院だが、2連戦の影響もあってか2点目を奪いきることができなかった。

 逆に明秀日立は12分、中央の湯澤がダイレクトのワンツーで左サイドへ展開。左MF岩谷拓汰(新3年)の高精度クロスをゴールエリアへ飛び込んだ湯澤がスライディングで合わせて3-1とした。

 この後も及川のクロスバー直撃弾などで攻める明秀日立は24分、交代出場のMF大和田祐樹(新2年)のスルーパスから同じく交代出場のFW作山雅紀(新2年)がループシュートで決めて4点目。最後はメンバー全員を入れ替えた明秀日立はアディショナルタイムにも交代出場FW高村哉太(新3年)がダイビングヘッドで決めた。

 明秀日立は優勝したものの、萬場監督は「フラットな状況ではなかった」。連戦となった聖光学院に比べて試合間隔の長かった部分も勝敗に影響を与えたことを指摘した。それでも、先発組だけでなく、短い出場時間の選手たちもアピール。「底上げもそうだし、勝つというのも両方を追い求めてやりたい。今年はパワフルよりもテクニカルに、スピード感あるところが目指しているところ」という言葉どおりに育成、結果、内容でも成果を残す大会となった。

 2年前の全国高校選手権初戦でMF森島司(現広島)を擁した四日市中央工高を撃破。茨城北部の新鋭は茨城の常勝軍団、全国上位を目指して歩みを進めている。だが、目先の結果を求めるだけではなく、エース級の選手でも筋トレで規定の重量をクリアできなければトップチームに入れないなど平等な競争。全選手が退部せずに3年間サッカーを続けるという中で、湯澤やDF市江祥也(新3年)のように下のチームから這い上がってきた選手が出てきている。「感謝、どんな時にも勝利を目指す」(湯澤)というテーマを常に持ちながら、アンダーアーマーチャレンジカップ優勝校の明秀日立は今年、目標を一つでもクリアする一年にする。

(取材・文 吉田太郎)
アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SPRING

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