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“ライバル初共演”の山形が大分撃破…FW阪野弾で開幕戦以来&ホーム初の白星

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[4.8 J2第7節 山形3-2大分 NDスタ]

 3シーズンぶりとなったモンテディオ山形大分トリニータの対戦は、前後半で真逆の展開となった。前半にホームの山形が2点を先行するが、後半に大分が2ゴールを奪取。山形は同点後も苦しい時間帯が続いたものの、FW阪野豊史がチームを救う勝ち越しゴールを挙げ、開幕戦以来となる6試合ぶりの勝利を飾った。

 前節の長崎戦(0-2)で今季初黒星を喫した山形は、先発2人を変更。DF石川竜也、MF荒堀謙次に代わり、DF高木利弥が3試合ぶり、MF鈴木雄斗が2試合ぶりにスターティングメンバーに名を連ねた。システムは開幕から変わらず、3-4-2-1。鈴木は荒堀のいた右ウイングバック、高木も石川が務めた3バックの左と、2人ともそのまま同ポジションに入った。

 また、2015年に群馬から加入したMF瀬川和樹、同年に神奈川大から新加入となった高木が在籍3年目にして、リーグ戦初の同時出場。開幕戦の京都戦(2-1)以来、勝利から遠ざかっている山形は、左ウイングバックの同ポジションを争っていた“ライバルの共演”で6試合ぶりの勝利を目指した。

 対する大分も前節の愛媛戦(1-1)からスタメン2人の顔触れが変わった。MF黒木恭平と、左半腱様筋肉離れで全治約6週間と診断されたMF松本怜が外れ、MF山岸智が4試合ぶり、MF岩田智輝が3試合ぶりの先発出場。選手の並びも山形と同じく、開幕からの3-4-2-1を継続した。

 山形が2015年にJ1、大分が2016年にJ3で戦っていたため、公式戦で顔を合わせるのは2014年以来。過去にJ1でもしのぎを削り、リーグ戦の通算対戦成績で9勝4分9敗と互角の両チームは、開始からアップテンポで試合を進める。前半1分に大分FW三平和司がオープニングシュートを放つと、山形も負けじと同2分に瀬川が右足でシュート。しかし、いずれもゴールには結びつかなかった。

 互いに第一陣の攻撃を終えると、そこから主導権を握ったのは山形。前半4分、DF茂木力也が右サイドの高い位置からクロスを上げる。PA内でDF竹内彬にクリアされるも、これが中途半端になり、素早く反応したMF瀬沼優司がPA内やや右から左足を振り抜く。抑えの利いたシュートがゴール左に決まり、まずは山形が先手を取った。

 リーグ戦4試合ぶり、ホームでは今季初の得点が生まれた山形は、ショートパスとサイド攻撃でその後も相手ゴールに迫る。前半10分には最終ラインから攻撃参加した茂木が再び右から折り返すと、左ウイングバックの位置からPA内中央まで進入した瀬川が反応。利き足と逆の右足で強烈なシュートを放つが、惜しくもクロスバーを直撃した。

 流れをつかめない大分は、前半16分にボランチのMF小手川宏基が遠めから右足でミドルシュートを放つも、ゴールをとらえられず。追加点を狙う山形も同28分、左サイドからの瀬川のスローインを阪野が相手DFを背負いながら落とす。スピードに乗って受けたMF汰木康也がPA内に抜け出し、飛び出したGK上福元直人の鼻先をかわすような右足のループシュートを見せるが、ゴール左に外れた。

 前半38分には汰木が左サイドでキープし、フォローに来た瀬川にパス。瀬川が左足で高精度のクロスを送り、ニアに飛び込んだ阪野が体をひねりながらヘッドで合わせるも、枠をとらえ切れない。さらに同40分、茂木のパスを阪野がダイレクトで流すと、PA内中央に抜け出した鈴木が飛び出したGK上福元に倒され、PKを獲得する。

 自らPKキッカーを担った鈴木。右足でゴール左を狙ったゴロのシュートはGK上福元に読まれるも、触られることなくネットを揺らし、前半42分に追加点を奪った。鈴木の今季2点目となるゴールは、同じくPKで挙げた第1節・京都戦(2-1)以来、6試合ぶり。また、山形にとっても開幕戦以来の複数得点となった。

 直近3試合の無得点が嘘だったように、攻撃が機能する山形。パスワークを主体とした中央の崩しと、瀬川や茂木を生かしたサイド攻撃がうまく噛み合い、前半は大分を圧倒し続けた。

 ハーフタイム明けに「次の1点が勝負」と片野坂知宏監督が話した大分は、後半に入ると1段ギアを上げて攻勢をかける。これが実ったのは後半12分。中盤の小手川が敵陣左寄りのFW後藤優介に横パスをつなぐと、受けた後藤が意表を突いて右足を振り抜く。強烈なブレ球シュートがゴール右角の絶妙なコースに決まり、1点を返した。

 1-2と1点差に詰め寄る後藤の4試合ぶりのゴールが、大分の選手たちの体をさらに軽くする。後半17分には左サイドの山岸が内側にパスを出し、うまく相手DFの間で受けた三平がPA内左から右足でシュート。低い弾道のボールがゴール左に吸い込まれ、大分が2点差を追いついてみせた。

 今季初ゴールを挙げた三平は、後半18分にFW川西翔太と交代。昨季まで3シーズンにわたって山形でプレーした川西が古巣のピッチに足を踏み入れる。また、同点ゴールをアシストした山岸もMF國分伸太郎と同時間に交代した。

 圧倒した前半から一転し、真逆の展開となった山形。流れを変えるべく、後半19分に瀬川を下げ、DF山田拓巳を投入する。右の鈴木が左ウイングバックに回り、山田が本職の右ウイングバックを務めた。

 後半26分にはPA左外の鈴木が右足でクロスを供給。中央で相手DFに競り勝った阪野がヘディングシュートに持ち込むが、わずかにゴール右へと外れた。

 同点後も攻撃のペースを握る大分。後半30分、後藤がスルーパスを送ると、オフサイドラインぎりぎりで抜け出したFW林容平がPA内中央でGK児玉剛との1対1を迎える。右足で放った低いシュートはGK児玉に左足で防がれるも、空中に跳ね上がったボールがゴール方向へ。だが、カバーに入った高木がゴールラインを割る目前でジャンプしながら左足でかき出した。

 防戦一方の山形は後半33分にドリブラーの汰木に代え、パサータイプのMF風間宏希をピッチへ送る。すると、その風間が大仕事を果たした。

 後半40分、PA左角付近でボールを持った風間は、顔を上げて中央を確認し、右足で正確なクロスを供給。PA内中央でゴールに背を向けて受けた阪野が胸トラップから反転し、右足でボレーシュートを放つ。これがゴール右に決まり、勝ち越しに成功した。

 阪野の5試合ぶりとなる今季2得点目により、劣勢の中でリードを奪った山形。後半アディショナルタイム1分にボランチをMF中村駿からMF松岡亮輔に代え、逃げ切りを図る。そのままスコアは動かず、山形が3-2で勝利。初共演を果たした瀬川と高木が攻守でそれぞれ見せ場を作り、ホーム初白星に大きく貢献した。一方、敗れた大分は3試合ぶりの黒星。次節のホーム金沢戦で3試合ぶりの勝ち点3を目指す。


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