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[プレミアリーグWEST]課題出た東福岡勝ち点3逃す。プレミアでまた「できること」増やした神戸弘陵が2点差追いつきドロー!

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神戸弘陵高FW住田翔(左)と東福岡高CB中村駿が競り合う

[4.9 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 神戸弘陵高 2-2 東福岡高 ヤンマー]

 9日、高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグWEST第1節2日目が行われ、神戸弘陵高(兵庫)と東福岡高(福岡)との高体連チーム対決は2-2で引き分けた。昨年の対戦成績は2戦2分。プレミアリーグで3度目の対戦となった戦いは三たび勝ち点1を分け合う結果となった。

 立ち上がりは、谷純一監督が「前半はカウンター中心にしっかりブロックを作って、(東福岡に)サイド変えさせないようにして、2トップが速く攻撃することを狙った」という神戸弘陵がロングボールを中心に勢いを持って東福岡陣内へ攻め込む。3分には縦パスからDF2人に競り勝ったFW住田翔(3年)がシュートまで持ち込み、11分には左SB権勝星(3年)のクロスからCB田中滉大(3年)の放ったヘディングシュートがクロスバーを叩いた。

 一方、日本高校選抜の欧州遠征によってU-18日本代表CB阿部海大(3年)を、また主力CB斉藤諒(3年)を負傷によって欠く東福岡は本来右SBの中村駿(3年)と2年生CB西田翔央をCBの代役に起用。2人の堅実な守備や、攻守において存在感を放つアンカー・MF青木真生都(3年)の幅広い動きなどによって守備からリズムを掴んだ東福岡は、サイドチェンジを交えた幅のある攻撃で主導権を握った。

 そして22分、ボールを右サイドへ展開すると、MF木橋朋暉(3年)が得意の左足でストレート回転のアーリークロス。巧みに最終ラインの背後を取ったエースMF福田湧矢主将(3年)絶妙なコントロールから右足で先制ゴールを決めた。先制した東福岡はボールを支配して2点目を狙うが、神戸弘陵はしっかりと守備ブロックを作って対応。奪ったボールをオープンスペースへ配球する攻撃はなかなか形にならなかったが、43分にはスルーパスからFW渡邉一也主将(3年)が決定的な右足シュートを打ち込んだ。

 神戸弘陵は連続失点しないことを徹底しながら、したたかにチャンスを狙っていた。右SB西山克人(3年)が対人の強さを見せていたほか、SHのプレスバックが徹底されていたやゴール前での集中力が高かったことも2点目を許さない。ボールを握りながらも畳み掛けられなかった東福岡の森重潤也監督は「崩せるだけの力がまだない」と指摘する。それでも後半17分、東福岡は右中間やや後方の位置で木橋がFKを獲得。これを木橋が左足で自ら狙うと、鮮やかな弧を描いた一撃がゴール右隅上を破り、2-0となった。

 神戸弘陵にとっては痛い2失点目になったと思われた。だが、後半11分にキープ力高いFW小西力生(3年)を、20分にはテクニカルなMF山岡柊威(3年)を投入してポゼッションを高めた神戸弘陵は24分、MF高野裕維(2年)が右サイドからサイドチェンジ。トラップで相手DFと入れ替わった10番MF 竹村史明(3年)のラストパスを住田が右足で合わせて1点差とした。

 谷監督も「(先発したFW渡邉)一也は守備がよくできる子なんで後半の10分間頑張らせて、小西を入れて中盤のポゼッション率を上げて、後半半分くらいから試合支配できる時間が増えてシュートで終われることが多くなった」と語っていたが、さらにFW立岩玄輝(3年)を投入して勢いを加速させた神戸弘陵は29分、高野の左FKをニアサイドの田中が頭でコースを変えて同点ゴール。試合を振り出しに戻した。

 東福岡は「1点取られたら流れを変えられないのが自分達の課題で試合の中で修正できない」と福田も首を振る連続失点。その東福岡は追いつかれた直後に大型FW大森真吾(2年)とMF中村拓也(2年)を同時投入。青木をトップ下の位置へ移して勝ち越しゴールを狙う。40分には右スローインから大森が決定的な一撃を打ち込み、42分には右SB江村凛太郎(3年)がカットインからクロスバー直撃の左足シュート。一方の神戸弘陵もカウンターから立岩が左足シュートへ持ち込むなど勝敗の行方を決定づける3点目を目指したが、互いに奪うことはできず。2-2で引き分けた。

 2点差を追いつかれて引き分けた東福岡の森重監督は「まだまだ甘いことは分かっていたけれど、失点に繋がる甘さが一番。もう一度キチッと整理しないといけない」と修正点について口にした。一方の神戸弘陵・谷監督は「こっちがカード切ってリズムを掴んできてから決定力高くチャンスものにできて、2点獲れて、また立岩が入って前線に勢い出たんで、あそこで追加点が欲しかった」と勝ちきれなかったことを悔しがっていた。

 昨年、プレミアリーグに初昇格した神戸弘陵は東福岡との初対決では守備ブロックを敷いてひたすら守っての0-0ドロー。そこからチームは徐々にやれることを増やしている。谷監督は「(昨年の)後期は守備にカウンター加えた。今年は前半その戦い方をして後半はポゼッションができるようになった。今年は(カウンターとポゼッションを)両方できるようにと掲げていて、もう1点取って逆転していれば最高だったんですけれども、チームと個人が成長する上では0-2から追いついたことは逞しさと、あと一歩という甘さが出たんで、そこを一週間でまた意識を改善して(第2節の)大津戦に臨みたい」。互いに勝ち点3に近づきながら引き分けた開幕戦。逆転勝ちには至らなかったが、開幕戦でより今季の戦いへ向けてより自信を掴んだのは神戸弘陵の方だと言えそうだ。

(取材・文 吉田太郎)

●2017プレミアリーグWEST

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