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[プレミアリーグEAST]昇格組の浦和ユース、熱きファイトで王者・青森山田に大逆転勝利!!

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後半19分、浦和レッズユースはCB橋岡大樹主将がPKを決めて1点差。このゴールで流れが変わった

[4.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 浦和ユース 3-2 青森山田高 味スタ西]

 高円宮杯U-18プレミアリーグEASTは9日、味の素スタジアム西競技場で第1節第2日を実施。その第1試合で昇格組の浦和レッズユース(埼玉)と前年度王者の青森山田高(青森)が対戦。王者が2点をリードする展開となったが、浦和が3-2と大逆転勝利を収めることとなった。

「2点をリードするまではゲームプラン通り」

 日本高校サッカー選抜の指揮官として欧州遠征に途上にある黒田剛監督に代わって開幕節で指揮を執った青森山田・正木昌宣コーチは、そう言って天を仰いだ。開始20分までは風上の利を活かしてセーフティーにボールを蹴り込み、そこから一転してつなぎ始める流れも事前のイメージ通りだろう。40分には左からの崩しでU-18日本代表MF郷家友太が見事な先制点を叩き込み、後半14分にもMF堀脩大のCKから郷家がニアで合わせて、こぼれを16年U-19日本代表のMF中村駿太が詰める練習どおりのセットプレーから追加点。理想的な展開だった。

 これは裏を返せば、浦和ユースにとって最悪の展開である。前半風下で耐える流れは想定していたものの、「ハーフタイムを挟んで風が止まってしまった」(大槻毅監督)のは想定外。2点目を失ったときは万事休すかとも思われたが、今季の浦和は凡庸なチームではない。「そこからバタバタしたまま試合を転がすことがなかったのは評価できる」と大槻監督が評したとおり、U-18日本代表DF橋岡大樹らが熱く周囲を励まし、心折られることなく反攻を開始した。

 ゲームの分かれ目は、2点目の生まれた5分後だった。CKからPA内での「不用意なファウル」(正木コーチ)から生まれた浦和PKのビッグチャンス。「正直、めちゃくちゃ緊張した」と言う橋岡だったが、これを何とか決めて試合の流れを引き戻すどころか、ひっくり返すことに成功。「あそこで下を向く選手が多すぎた」と郷家が振り返ったとおり、まだ青森山田がリードしているにもかかわらず、この段階ですでに心理面での有利と不利は逆転していた。

 逃げる山田と追う浦和という構図だったが、郷家は「守るなら守るで統一するべきだった」と悔やむ。攻めへの意欲もある中で中途半端なプレーも出る中で、後半25分にはCKから浦和のガッツマンであるMF大西翔也が同点ゴールを流し込み、38分には大槻監督から「結果を残してこい!」と送り出された負傷明けのU-18日本代表MF井澤春輝が巧みな切り返しからのシュートを突き刺し、逆転に成功した。

 追う立場に転じた青森山田は197cmのFW三国ケネディエブスとヘッドの強さに定評のあるCB蓑田広大を前線に立ててのパワープレーを敢行し、何とか同点ゴールを狙う。だが、ここに立ちふさがったのは橋岡と関大夢のCBコンビを中心とした浦和守備陣。「球際は高体連のほうが強いとか言われるけれど、そこでも絶対に負けるつもりはない」(橋岡)というプライドも見せながら、熱さや激しさという部分で真っ向から対抗。大槻監督が就任以来叩き込んできたベースの部分をプレミアリーグという晴れ舞台で存分に披露する“跳ね返しっぷり”で3-2のスコアを最後まで保持。浦和ユースが「昇格組ながら優勝候補」という前評判に違わぬ心と体の強さを見せ付け、チャンピオンを破っての開幕白星を飾った。

(取材・文 川端暁彦)
●2017 プレミアリーグEAST

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