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「長い歴史の中で記憶に残るJAPANに」日本高校選抜が町野、三国ゴールでデュッセルドルフ国際開幕戦勝利!

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前半7分、日本高校選抜はFW町野修斗のゴールで先制。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.13 デュッセルドルフ国際ユース大会予選リーグ 日本高校選抜 2-0 フォルトゥナ・デュッセルドルフ]

 第55回デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)が現地時間13日に開幕。第95回全国高校選手権の優秀選手中心に構成された日本高校選抜は開幕試合で地元のフォルトゥナ・デュッセルドルフと対戦し、FW町野修斗(履正社高3年)と右SB三国スティビアエブス(青森山田高→順天堂大)のゴールによって2-0で快勝した。日本高校選抜は現地時間15日にマインツ(ドイツ)、ザルツブルク(オーストリア)とそれぞれ戦う。

「(大会の)長い歴史の中で記憶に残るJAPANに」。黒田剛監督(青森山田高)の言葉でミーティングを締めて宿舎を出発した日本高校選抜は、日本の高校生サッカーの代表として臨む大会を白星でスタートした。

 日本の布陣は4-5-1システムでGKが廣末陸(青森山田高→FC東京)。4バックは右SB三国、CB橋本恭輔(青森山田高→新潟医療福祉大)、CB阿部海大(東福岡高3年)、左SB杉山弾斗(市立船橋高3年)。中盤は主将の住永翔(青森山田高→明治大)と金子大毅(市立船橋高→神奈川大)のダブルボランチで、右MF鳥海芳樹(桐光学園高→桐蔭横浜大)、左MF松本泰志(昌平高→広島)、トップ下が町野。1トップは安藤瑞季(長崎総科大附高3年)が務めた。

 立ち上がりは上手く試合に入ることができてなかった印象の日本高校選抜。細かいミスが続いてボールをキープすることができず、DFラインが下がってしまうと決定機も作られてしまう。25分ハーフのハイテンポの攻防戦でまず勢いづいたのは相手の方。だが、下級生FWの一撃が重い雰囲気を吹き飛ばす。7分、右サイドからボールを受けた町野がPA外側から右足一閃。本人も「最高っすね。気持ちよかった」という一撃がゴール右隅を破り、日本高校選抜に笑顔が弾けた。

 ファインショットで先制した日本高校選抜だが、乗り切れない。長めの芝に苦戦して連続のパスどころか、カウンターから1本目のパスでミスが起きてしまうようなシーンが続いてしまう。そして球際で軽いシーンも散見されたチームは相手の前線の選手にボールを収められるなど自陣へ押し込まれ、クロスを上げられたり、サイドを切り崩されてしまった。

 それでも阿部や橋本がゴール前でしっかりと蓋をして決定打を打たせなかった日本高校選抜は17分、住永のサイドチェンジから鳥海が上手く右サイドを抜け出してCKを獲得。その右CKを杉山が左足で入れると、ニアサイドの三国が頭で逆サイドのゴールへ流し込んで2-0とした。

 前半25分に鳥海の右クロスから松本がヘディングシュートを打った後はシュート数を増やせず。安藤や町野が前線で何とかボールを収めようとするが、出し手とのタイミングが合わず、またスピードに乗った攻撃を繰り出そうとしたところでパスが相手DFの足に引っかかってしまうなど、攻撃面の良い部分をなかなか増やせなかった。

 後半6分にはGKにプレッシャーをかけられて大ピンチを迎えるシーンもあった。それでも、チームの“生命線”である金子、住永のダブルボランチが運動量と強度を高めていったほか、廣末がリスクを回避してタッチライン外へボールを蹴り出すなど悪い中でも判断しながらの戦い。個々が粘り強く戦っていた日本は後半半ばから積極的に選手交代を行っていく。

13分に町野をFW飯島陸(前橋育英高3年)へ、15分には接触プレーでやや傷んだ橋本に代えてCB佐藤瑶大(駒澤大高→明治大)をピッチへ送り出した。さらに18分には松本をDF渡邊泰基(前橋育英高3年)へ、そして21分には安藤をFW伊藤龍生(米子北高→鹿屋体育大)にチェンジ。ボールを取り切れない部分など課題もあり、3点目は奪えなかったが、終了間際に鳥海、飯島、三国が絡んだ鮮やかな崩しから最後は右クロスを伊藤が頭で合わせて観衆を沸かせて試合を終えた。

難しい初戦となったが、黒田監督は「これが海外だよね。意図せぬ形があった。でもこれを彼らが肌で感じたのが良かった」。そして住永は「入りのところで硬いところがあったのはみんな肌で感じたので、次の試合でなくしていければいい」と語った。

 まずは白星発進。試合前のミーティングでチームの闘志は十分に高まっていた。栗田和彦団長(桜修館中等教育学校)から18人一人ひとりに日の丸のワッペンが配られ、そして昨年の日本高校選抜チームから受け継がれたキャプテンマークが住永に手渡された。そして「自信を持って戦いましょう」のメッセージ。仲村浩二コーチ(尚志高)から先発発表が行われ、湯田哲生GKコーチ(千葉U-18)作成のモチベーションビデオが流された。

 全選手の選手権の映像などが活用されたモチベーションビデオには青森山田の全国制覇のシーンとともに敗退した選手たちの姿も映し出されていた。「必ずこの悔しさを無駄にしない」。そして、選考会から初戦を迎えるまでの日々。「この仲間で成し遂げようぜ、デカイ事を」「戦え!日の丸の威信にかけて!」「世界を驚かせろ!」。心に響くような大作が上映された後に、黒田監督から選手たちに主に伝えられたのは独特の雰囲気を楽しんでいい意味で試合に慣れること、相手に得意なことをやらせないこと、そして支えてくれた人々への感謝を表現することだった。

伝えられた「色々な人に感謝すると同時に、プレーで恩返ししよう」「長い歴史の中で記憶に残るJAPANに」というメッセージに応えるような闘争心、戦いを見せた日本高校選抜。予選リーグの4試合、そして決勝までの全6試合を勝ち抜き、歴史に残る戦いをすることを目標とする日本高校選抜が、注目の初戦で苦しみながらもしっかり白星を勝ち取った。

(取材・文 吉田太郎)
●日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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