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欧州でも存在感放つ市船勢。守備でさらに進化の日本高校選抜MF金子が欧州強豪と渡り合う

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欧州でも存在感を発揮している日本高校選抜MF金子大毅。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.15 デュッセルドルフ国際ユース大会予選リーグ 日本高校選抜 0-0 ザルツブルク]

 JリーグではMF原輝綺(現新潟)とDF杉岡大暉(現湘南)が開幕スタメンを果たし、MF高宇洋(G大阪)もJ3で先発出場を続けている。プロの世界で奮闘する市立船橋高の同期たちに負けじと、今、欧州で日本高校選抜MF金子大毅(市立船橋高→神奈川大)が存在感を放っている。

 全国高校選手権で大会ナンバー1ストライカーのFW岩崎悠人(京都橘高→京都)に「金子が一番エグかったですよ」と杉岡、原以上に厄介な存在だったと評されたMFは、欧州でも対戦相手にとって嫌な存在になっている。

 MF住永翔(青森山田高→明治大)とともに毎試合、中盤中盤で激しい攻防戦を演じ、特に守備の部分ではチームの3試合連続無失点に貢献している。この日も正午をまたいで行われたマインツ戦では中央、サイドと運動量多くチーム全体をカバー。国内では絶対の自信を持つボールを奪い切る部分も発揮していた。そして午後のザルツブルク戦について本人は運動量を増やせなかったことを口にしていたが、それでも再三相手ボールを引っ掛けるなど目に見えるような活躍をしていた。

 ボールを奪う部分について、欧州で一つ成長を遂げている。外国人の動きは日本人に比べて予想しづらく、「ドリブルや縦パスが来て重心的にこっち来るなというのがあるんですけど、外国人は真逆に来たり。予測しづらいし、あと一瞬のスピードがあるんで奪いきれていないところがある」のだという。

 日本でのように一人でボールを奪い切ることができない状況。だが金子は一人で奪いきれなくても、相手ボールを的確につつくことで周囲の選手と複数で奪い切ることに成功している。それが如実に表していたのがザルツブルク戦。1タッチを交えて正確にボールをつなぐ相手を捕まえることに苦戦していたが、距離を上手く詰めると、足先でボールを引っ掛けてルーズボールや味方のボールにしていた。

「こっち(欧州)来て奪い切るというのは難しいところがあるので、足を出して引っ掛けるっていうところに変えたりしています。(日本、海外と)それぞれの国で対応していくのも能力のうちだと思っているので、奪いきれなくても足出して引っ掛けてパスにしたりとかを上手く身に着けられればいい。日本でも難しいなと思った時にそういうプレーが自ずと出てくれば奪う回数も増えてくるし、海外の選手は足長いんでそこで(自分一人で取りきらなくてもいいと)余裕が持てれば、余裕を持ってプレーできると思うので、あと2日ですけれども意識してやっていきたいです」

 大会2連覇中のザルツブルク戦で「(ザルツブルクは)特に11番(アミニュ・モハメド)がドリブラーと聞いていて、予測していてもスピードで抜かれると思ったんで、右足出したり、右足出して(住永)翔に当てたり、そういうのが上手くできたと思います」と手応えを感じたプレーを続け、また攻撃面でもミス無くボールを繋ぐことに課題を持って取り組んでいく。現在はダブルボランチの一角で、アンカーを務めていた市立船橋時代よりも前目のポジションとなっていることから、よりプレッシャーを受けながらのプレー。インターセプトから一気に前進することがある一方でミスパスも少なくない。だが、奪い切る守備同様に、そこでも対応力を示すこと。欧州でも“通用している”MFは予選リーグ最終戦、そして決勝トーナメントで少しでもレベルアップして日本へ帰国する。

(取材・文 吉田太郎)
●日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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