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[MOM432]順天堂大FW旗手怜央(2年)_「最後は怜央が取る」、仲間も信頼のFWが王者を蹴散らす2発

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まずは開幕2発の活躍をみせた順大FW旗手

[4.15 関東大学1部リーグ第1節 明治大0-2順天堂大 味フィ西]

 エースたる活躍だった。順天堂大は15日に迎えた関東大学1部リーグ開幕戦で昨季王者の明治大に2-0の完封勝利。白星発進に成功した。全2得点を挙げたのはFW旗手怜央(2年=静岡学園高)。大学2年目のシーズンで背番号11を任されたFWが勝ち点3をもたらした。

 前半は我慢が続いた。互いに焦れるような時間帯、旗手の決定機も前半39分にPA内右へ仕掛けていった一度きり。厳しいマークに苦しみ、思うような場所でボールを受けることができず、2年生FWは苛立っていた。

 そこで声をかけたのは先輩のMF名古新太郎(3年=静岡学園高)。静岡学園高からの“直属の後輩”へ「絶対にチャンスはあるから」と声をかけ続けた。名古は「あいつの性格上、イライラしてしまう。そこは俺くらいしか上手くコントロールできないので。“最後は怜央が取るんだろうな”と思いながら、とりあえず落ち着かせました」と言う。

 先輩の声かけもあり、冷静さを取り戻した旗手は目の前の自分の仕事に集中。ただただゴールを狙うことに専念した。後半に入り、徐々に順大がボールを保持する時間が増えていくと、後半22分に試合は動く。右サイドから攻め上がった旗手がMF望月陸(1年=清水ユース)へ預け、リターンを受ける。最後はPA右から冷静に右足シュート。「陸が中を空けてくれたので上手くトラップして、最後はコースとか関係無しに思い切り打てました」という一撃はゴールネットを揺らした。

「なかなか上手くいかずに怒ってしまったりする部分がある。名古さんがしっかり言ってくれたので、自分をコントロールできた。本当は言われないようにしないといけないのですが……言ってくれるとありがたいなと思います」

 そう旗手が言えば、先輩・名古は「あいつ自身も変わらないといけないし、分かっていると思うんですけど。まだまだ子供なのでしゃーないっす」と冗談交じりにコメント。「でも抑えられるようになってきましたし、良くなってきているんです」とフォローも忘れなかった。

 1-0とした後半37分にはカウンターから追加点。名古からパスを受けた旗手がPA左から中央へ流れ、最後は右足シュートをゴールネットへ突き刺した。「上手く名古さんがキープしてくれたので自分は走るだけ。上手く流し込めました。相手がどう動くかを見ながら、自分らしくボールを運びながら打てた。自分の間合いに相手を持っていけたかな」と振り返る。

 勝利をもたらす2得点の活躍だったが、順大の堀池巧監督は「まだまだ本来の力じゃない」と要求。「9点を取った昨季もその倍以上の決定機を外していた。もっと得点力に期待している」と語る。

 旗手は3月下旬にU-20日本代表のドイツ遠征に招集され、代表への定着を目指す立場だ。生き残るためには「オフの動き」が大切だと堀池監督は語る。「去年はオフの動きをやらなくても結果が出たので、自分はやれていると勘違いしてしまっていた。“オンのためのオフ”。そこをしっかりやらないといけない」。

 これは旗手も理解。実際にU-20日本代表ではFW小川航基(磐田)のプレーに影響を受けた。「オフの動きが本当に上手い。ボールをもらうために何度も動き直していて。本当にそこは自分にとっていい経験になりました。一番すごいと思ったのは小川航基選手。オフの動きを何度も何度も繰り返していたので、本当にすごいなとただただ関心しました」と言うとおりだ。同世代Jリーガーのプレーを目の当たりにし、自身のプレーも突き詰めていくつもりでいる。

 再び代表入りをつかむためにも、まずは順天堂大で結果を残すしかない。「プロに比べたら注目度はないですが、しっかりと結果を残せば、見てもらえているので、少なからずチャンスはある。そこを見据えながらチームで結果を求めていきたい」と話した旗手は「順大が優勝、勝利するためには自分がゴールを決めないと勝てない。自分の立場を考えて結果を求めていきたい」とエースたる覚悟を口にした。

(取材・文 片岡涼)

●第91回関東大学1部L特集

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