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[プリンスリーグ関東]「出来が素晴らしかった」FW宮崎鴻が前線で躍動。前橋育英が流経大柏に3-0快勝

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FW宮崎鴻が前線で流れを引き寄せる活躍。前橋育英高が3-0で快勝

[4.22 高円宮杯プリンスリーグ関東第3節 流通経済大柏高 0-3 前橋育英高 流通経済大柏高G]

 プリンスリーグ関東第3節、流通経済大柏高(千葉)VS前橋育英(群馬)の無敗チーム同士の対決は、前橋育英が圧倒的な力を見せつけ、3-0の快勝で戦績を2勝1分とした。

 昨年度の全国高校総体準優勝の流経大柏と全国高校選手権準優勝の前橋育英との一戦。この試合でひと際存在感を放っていたのは、185cmの大型FW宮崎鴻だ。彼はゴールを決めていない。アシストをしたわけではない。しかし、「今日は宮崎の出来が素晴らしかった。彼が試合を優位に運ばせてくれた」と山田耕介監督が絶賛したように、彼が前線でロングボール、クロス、クサビをすべて集約し、周りの選手に配り続けたことで、流経大柏は常に押し込まれる展開を強いられ、完全に中盤が間延びし、反撃の糸口を見出せなかった。

「僕が競り合いに勝たないと、攻撃面で大きなマイナスになる。周りには上手い選手が沢山いるので、周りの状況をしっかりと把握しながら、フリーの選手にいい状態でボールを渡せるようにしないといけない」。

 宮崎の特徴は屈強なフィジカルと跳躍力、そして前への推進力だけでは無い。しっかりと考えた上でのプレー選択が出来る判断力が大きな魅力だ。ボールが来る前に誰がフリーなのか、どのスペースが空いているかを確認してから、競り合いに挑む。競り合いも「味方が浮き球なのか、グラウンダーなのか、ライナーで蹴って来るのかを見極めて、相手より先に飛んだり、相手より一歩前に出ることで、自分の優位な間合いにしてから勝負するようにしている」と、味方のキックの質を瞬時に見極め、それに適した予備動作を選択する。

 この試合、後半15分にMF田部井悠の左クロスを高い跳躍で競り勝つと、裏に落とすと思いきや、猛ダッシュして来た田部井悠にリターンパスの形でヘッドをすると、田部井悠はダイレクトで強烈なミドルシュート。これは僅か外に外れたが、しっかりとした判断に裏付けされたプレーだった。

 19分には交代出場のFW飯島陸のグラウンダーの縦パスを正確に飯島に落として、決定機を演出。24分にはこちらも交代出場のDF渡邊泰基のクロスを田部井悠に正確にヘッドで落として、チャンスを作り出した。

「今日は身体のキレが良かった。空中戦や競り合いでもイメージ通りのプレーが出来ました。ただ…」。自身も納得の出来で、笑顔で話していた彼だったが、表情を曇らせるとこう続けた。「点が取れていないんです。FWなのに、スタメンから出させてもらっているのに、プリンス関東でまだ1点も決められていない。これは自分の仕事をしたとは言えません…」。

 チャンスが無かった訳ではない。36分のDF後藤田亘輝のライナークロスをドンピシャヘッドで合わせるが、GKのファインセーブに合い、35分にはMF五十嵐理人の左からの折り返しを、ワントラップから鮮やかな反転シュートを放つ。GKを破ったが、ゴールラインギリギリでカバーに入った流通経済大柏DF瀬戸山俊に阻まれた。

「次の試合は絶対に自分が決めたい」。

 この試合、両親が流通経済大柏グラウンドに応援に駆けつけた。現役時代は駒澤大でサッカーをやっていた日本人の父と、バレーボールをやっていたオーストラリア人の母。スポーツ万能の遺伝子を引き継いだ彼は、ゴールこそ見せられなかったが、その能力をピッチで存分に発揮し、躍動感溢れるプレーをしっかりと両親に見せた。

 次はそれプラス、ゴールを奪って喜ぶ姿を見せるべく。モチベーションをさらにたぎらせ、次なる相手・ジェフユナイテッド千葉U-18に向けて、その牙を研ぎ澄ます。

(取材・文 安藤隆人)
●2017 プリンスリーグ関東

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