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[プレミアリーグEAST]「がっかりした」「戦っていない」の言葉に発奮。青森山田が後半3発で大宮ユース撃破

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青森山田高が3-0で快勝

[4.22 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 大宮ユース 0-3 青森山田高 NACK5]

 22日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグEAST第3節1日目の大宮アルディージャユース(埼玉)対青森山田高(青森)戦が行われ、アウェーの青森山田がU-19日本代表歴を持つFW中村駿太の2ゴールとU-18日本代表MF郷家友太のゴールによって3-0で快勝した。

 青森山田は欧州遠征を行った日本高校選抜チームを監督として率いていた黒田剛監督が19日に帰国。今季のプレミアリーグで初めて指揮を執ったが、前半45分間はその多くで大宮にボールを支配される展開となった。

 大宮は大塚真司監督が「(NACK5スタジアム大宮という)素晴らしい舞台を準備して頂いて多くの方々が見に来てくださっている中で、またトップチームが苦しい状況にある中で、何とかいいニュースを」と説明したように、気持ちの入った戦いを見せる。特にトップチームに昇格したMF山田陸の後継者として期待されるMF安島樹が攻守において存在感ある動き。彼やMF植松亮がボールを引き出してポゼッションを遂行し、最終ラインからハイサイドへ縦パスを狙うなど縦横の攻撃で揺さぶりをかけていた。

 一方の青森山田はボールを保持されたものの、0-0ドローも視野に入れたゲーム。まずは守備に集中して相手に決定打を打たせること無く試合を進め、縦への素早い攻撃で対抗する。そして左MF檀崎竜孔がポイントとなり、前半終盤にはMF堀脩大や郷家がシュートを飛ばしたものの、球際の部分で優位に立つことができず。前半については大宮の大塚監督が「前半に関しては、パーフェクトではないですけれども、それに近い」と評する45分間となった。

 ハーフタイム、青森山田の黒田監督が指摘したのはボールサイドでの攻防についてだった。「(今季初めてプレミアリーグの試合を見て)正直、がっかりした。7、8割しかやっていない」と檄。MF佐々木友が「『戦っていない。山田じゃない』と言われて悔しかった」と振り返ったように、この言葉に発奮した青森山田がキックオフ後のファーストプレーから攻勢に出る。そして9分、右サイドで強引に競り勝った佐々木がゴールライン際まで切れ込んで出したラストパスを大宮DFが足で右コーナー方向へクリア。だが、抜群の得点嗅覚でこれに反応したFW中村が頭でゴール右隅へ押し込んだ。

 大宮もFW奥抜侃志やFW吉永昇偉が青森山田DF陣の背後のスペースを突こうとするが、攻撃はやや中央に偏り、経験値豊富なCB小山内慎一郎主将と成長株のCB蓑田広大、終始安定していたGK坪歩夢中心に守る青森山田守備陣からチャンスの数を増やすことができない。

 逆に青森山田は18分に檀崎の左クロスから中村の放ったスライディングシュートと20分に中村の落としから郷家の放った右足シュートが立て続けにゴールマウスを直撃。28分には堀の左足シュートがクロスバーを叩いた。

 大宮はGK宮崎浩太朗中心に1点差のまま粘ったが28分、青森山田は再び佐々木の突破から中村が左足ダイレクトでゴール左隅へ流し込んで2-0。大塚監督が「後半相手がパワー掛けてくる。それは想定内のことだったんですけれども、パワーを掛けられた時に対応するパワー、エネルギーがまだ自分達には足りなかった」と評した大宮は、食らいつくことができない。青森山田は33分にも堀の右FKを郷家が頭で合わせて3点目。郷家が「10チームの中で一番弱いと言われ続けて自分達は正直悔しい気持ちになっているんですけど、それをみんな逆手に取ってパワーに変えている」という青森山田が2連勝を飾った。

 黒田監督は快勝にも「まだまだ」の評価。そして「油断すること無く、驕らず、謙虚に一秒とか、一瞬とか1プレーというものに泣く世界だから、そこから流れが変わることもあるだろうし、それがここからのテーマにもなってくるだろうし、そこを特に強調して厳しく言っていきたい」と高校選抜監督時と同様に一瞬や1プレーの大事さを説いていた。昨年度の2冠王者は先を見すぎること無く、今は謙虚に目の前の試合一つひとつを積み上げていくこと。昨年以上に選手間ミーティングを重ねているという青森山田は今冬も頂点で笑うことのできるチーム、そして一瞬、1プレーで差をつけるチームになる。

(取材・文 吉田太郎)
●2017 プレミアリーグEAST

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