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筑波大FW中野誠也が我慢の末の2発!天皇杯躍進へ「1試合でも多く」

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2発の活躍をみせた中野誠也

[4.23 第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会1回戦 YS横浜1-2筑波大 BMWス]

 不動の1トップを務めるエースが二度もゴールネットを揺らした。筑波大は天皇杯1回戦でY.S.C.C.横浜に2-1で勝利。来季のジュビロ磐田加入が内定しているFW中野誠也(4年=磐田U-18)が全2得点を挙げる活躍で初戦突破の立役者となった。

 まずは前半28分、相手最終ラインのミスを突いてのカウンター。敵陣左サイド深い位置からMF三笘薫(2年=川崎F U-18)の折り返しを受け、冷静なトラップから前へ運び、右足シュートを決めた。そして後半36分には再びカウンターからネットを揺らす。左サイドを上がったFW北川柊斗(4年=名古屋U18)のパス。バウンドしたボールを足元につけると右足を振りぬいた。「チームを楽に出来てよかった」と笑顔をみせる。

 先週行われた関東大学リーグ開幕戦では、ボールを受けられない状況に我慢できず、2列目まで下がってしまっていた。小井土正亮監督からは「もっと前に残ってくれないと相手に怖さがない」と言われたという。天皇杯前には指揮官と改めて話し、「動きすぎてチームとして効果的ではない。動きすぎないようにしないと」と決意。この日のYS横浜戦も耐える場面が多く、1トップの中野までボールがいかないシーンが続いたがしっかりと“我慢”。焦れずに前線で待ち続けたFWは二度のチャンスをものにした。

 対戦相手・YS横浜の樋口靖洋監督は、2得点を決めた中野について「能力が高い選手。動き出しの速さやDFとの駆け引きで、シュートを打つ際に相手のアタックを受けないプレーが上手い。ポテンシャルがある選手」と賞賛。「実際に対戦してみると本当に能力が高いなと感じました」と称える。

 とはいえ筑波大の小井土監督は「プロ契約している選手で、それくらいの評価をしてもらっている選手なので、このくらいは当たり前。彼自身もそう思っていると思います」とコメント。2発の活躍はあくまで“及第点”との認識を語った。中野へ寄せられる期待は高い。

 日本一に輝いた昨季の全日本大学選手権(インカレ)から、今季の天皇杯茨城予選、大学リーグ開幕戦と負けなしの筑波大は、ここまで先攻される展開が1試合もない。それゆえ、小井土監督は「先制されたときにどう戦うか。そこが大切になると思う」と先を見据える。これに中野も同調。「練習試合とかで先に決められると崩れるシーンもあった。そうなったときは筑波大としての力の見せ所。チームとして声をかけあってやっていくしかない」と表情を引き締めた。

 2回戦ではJ1のベガルタ仙台と戦う。プロ入りを前にトップレベルを体感できる絶好の機会。もちろん勝ちを取りにいく。中野は「1試合でも多く上にいきたい。大学サッカーはここまでできるぞと見せたい。1試合1試合を勝って、筑波が勝つことで大学サッカーに注目してもらえれば」と意欲をみせた。

(取材・文 片岡涼)

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