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[プレミアリーグWEST]反骨心見せたFW明比はじめアタッカー陣奮闘。広島ユースがアウェーで東福岡撃破

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サンフレッチェ広島ユースFW明比友宏主将は貴重な先制点を決めた

[4.23 高円宮杯プレミアリーグWEST第3節 東福岡高 0-2 広島ユース 東福岡G]

 高円宮杯U-18プレミアリーグWESTは23日に第3節を行い、東福岡高(福岡)と昨年度のWEST王者、サンフレッチェ広島ユース(広島)が対戦。前半に2点を奪った広島ユースが2-0で今季初白星を飾った。

 阪南大高との開幕戦は試合終了間際に1点リードを追いつかれ、引き分け。続く第2節の神戸U-18戦は前半のうちに先制しながらも、3点を奪い返されて逆転負けした。優勝候補と期待されながらも、スタートダッシュに躓いた広島ユースは、「勝つためには、あと半歩が出るかどうかが必要になることを改めて思い知らされた」(沢田謙太郎監督)。

 走ることの重要性を選手に気付かせるため、試合前に伝えたのは昨年まで広島ユースでプレーしたFW山根永遠の動き。現在は、セレッソ大阪U-23で奮闘するOBの姿を映像で見た沢田監督は、「(ユースの時は)いつも怒っていたけど、走った時には裏に抜けたり、勝負できたり良いプレーをしていた。そういう姿がないと活躍できない」と選手に声をかけたという。

 刺激を受けたのは、「あそこの運動量がうちの肝。守備も攻撃もアイツらから始まる」(沢田監督)というFW明比友宏を頂点とした3トップ。この日は、序盤から守備の連係ミスが目立った東福岡のDF陣に対し、積極的なプレスを披露。高い位置でのボール奪取から二次攻撃を仕掛けつつ、味方の縦パスから積極的にスペースへ飛び出し、好機を伺った。

 FW桂陸人とMF仙波大志も明比の後方を積極的に動き回って、東福岡ゴールに襲い掛かると、前半15分には中盤でボールを持った仙波が前線に浮き球のパスを配球。桂が胸で落とすと、走り込んだ明比が落ち着いて決めて均衡を崩した。27分には右サイドのスペースに走り込んだ桂がヒールで後方のMF川井歩へとボールを繋ぎ、ゴール前にパスを展開。ニアに走り込んだ仙波のシュートはGKに阻まれたが、こぼれ球をMF川村拓夢が押し込んでリードを広げた。

 対する東福岡も後半に入ってからは、自陣からテンポの速いパス回しで試合を支配。MF木橋朋暉福田湧矢によるサイド攻撃から見せ場を作ったが、「自分たちの流れに持ち込むことができたけど、決めきることができなかった」と福田が悔やんだようにフィニッシュの精度を欠き、1点が奪えず。後半11分に福田のサイドチェンジから木橋がゴール前に抜け出した場面も、シュートは枠を捕らえることができなかった。耐える時間が続いた広島ユースは、勝ちきれなかった2試合の経験を踏まえ、沢田監督が「2点獲ってからが大変。クリアする所ははっきりクリアしろ」と選手たちに指示。大きなクリアと最後まで集中力を保った守りを続けて、2点差を保ったままタイムアップを迎えた。

 今季初勝利を奪った広島ユースは前節を終えた直後に、「勘違いするな。(優勝した)去年から、試合に出ていた選手はいるけど、あれは上級生のチーム。お前らのチームはお前らでやらないとダメ。もっとチームを引っ張っていかないといけない」と沢田監督に雷を落とされた。指揮官から檄と飛ばされたことで変化を見せたのは、主将を務める明比。「人とのコミュニケーション能力が高くて、いつもニコニコしているし、おちゃらけるのも上手い」(沢田監督)という朗らかな性格の選手だが、「この1週間、笑いがなくなるくらい、よく頑張ってくれた。よく反骨心を見せてくれた」と指揮官が称える活躍を見せた。

 彼を筆頭としたアタッカー陣の活躍が目を惹く試合ではあったが、守備も走力と球際での粘りを見せた無失点。勝ち点3を獲れたこと以上に、やるべきことをしっかりすれば結果はついてくることを再確認できた重要な一戦だったと言える。スタートダッシュに躓いた広島ユースだが、連覇に向けて反撃が始まろうとしている。

(取材・文 森田将義)
●2017プレミアリーグWEST

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