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[プレミアリーグEAST]上手い、内容も悪くない、だが、まだ伝わらない「強さ」。我慢の市立船橋、開幕3連敗

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前半29分、市立船橋高はMF郡司篤也が同点ヘッド

[4.23 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 FC東京U-18 2-1 市立船橋高 味スタ西]

 上手い。内容も決して悪くない。この日は前節J3に出場した7選手が先発した FC東京U-18に先制されたが、FW福元友哉(3年)のポストプレーからMF平川孟人(3年)の左クロスを10番MF郡司篤也(2年)が頭で押し込んで同点に追いついて見せた。

 また、ロングボールや細かいパスワークで揺さぶり、右SB有田朱里(3年)や福元、FW松尾勇佑(2年)の強引な突破や左SB杉山弾斗主将(3年)の左足クロスで相手ゴールを脅かすシーンもあった。年々テクニカルな選手が増えている市立船橋について、朝岡隆蔵監督も昨年や一昨年に比べてJアカデミーの強豪チームに対して「やれる」部分が増えていることを認める。

 だが、今年は勝ち切ることができていない。この試合では日本高校選抜のオランダ・ドイツ遠征から帰国した杉山とU-16日本代表のフランス遠征から帰国したMF井上怜(2年)が先発。チームのレベルを引き上げたのは確かだが、勝たせる存在にはなれなかった。

 先制された6分後の前半29分に追いついたが、39分に不用意なミスからカウンターを食らい、サイド、ゴール前で簡単に守備が剥がされて失点してしまった。また、少ないながらも再び追いつくチャンスを作ったが、そこで決めきることもできなかった。

 朝岡監督は言う。「この1節、2節と内容は悪くないんですよ。それで、勝ってもおかしくないゲームをしているんですよ。ただ、本当に勝つか、負けるかと言ったら強さを感じない。(現状では)逞しさ、強さという部分において勝負を勝ち取るな、という気質をもった子が少ないです」。

 朝岡監督が以前から指摘しているのはリーダーがいないことだ。現在の3年生では杉山やGK長谷川凌、そして福元と下級生時から公式戦で先発を務めてきた選手がいるが、レギュラーを勝ち取り、1年間に渡って競争の中でそれを守り続けた選手がいない。中には良く声を出してチームを牽引する選手もいるが、まだ「勝たせる選手」になることができていない。開幕3連敗はいずれも惜敗だが、惜敗を言い訳にすることは危険。ここから巻き返す中で選手が変わっていくことが求められる。

 DF杉岡大暉(現湘南)やDF原綺輝(現新潟)、MF高宇洋(現G大阪)らを擁していた昨年とは違い、今年が厳しいスタートになることは予想されていた。一方で指揮官は、FC東京U-18をショートパスでいなすシーンもあるなど技術力高い選手の揃う今年のチームのポテンシャルに期待を寄せている。

「伸びしろある子たちなので、伸びていきますよ」。名門校は選手権日本一だけでなく、常に勝利を求められる存在。結果だけに徹するならば0-0を目指すサッカーもできるだろう。もちろん結果をおろそかにする考えは全くないが、それでは進化することができない。だからこそ、自力をつけることを疎かにはしない。

「結果に対して負けたことに敏感に選手も我々も急いてはいけないと思っています。これ(スタートダッシュで出遅れること)は想定内だし、それに対してこっちはぐっと積み上げて行く作業を今しておかないといけない。そうしないとチームの成長の速度は最後上がっていかないので。今は我慢の時期かなと思っています」(朝岡監督)。

 3連敗は誰もが望んでいない結果。この状況、悩みを成長するためのきっかけに変えて、自分達のレベルを引き上げ、打破する選手、チームにならなければならない。次節(4月30日)はホームで浦和ユース戦。まずは、出すことのできている良さを継続しながら、突き詰めるべきところを徹底する。

(取材・文 吉田太郎)
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