beacon

空自入間・横田が3位決定戦を制して次回シード獲得:自衛隊サッカー

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半44分、空自入間・横田のMF山下健太士長が直接FKで追加点をマーク

 第51回全国自衛隊サッカー大会の最終日が29日に味の素フィールド西が丘で行われ、3位決定戦は、航空自衛隊入間・横田基地サッカー部(以下、空自入間・横田)が2-0で航空自衛隊美保基地FC(空自美保)を下し、上位3チームに与えられる次回大会の全国大会出場権(地域予選免除)を獲得した。横田基地の所属で、かつて所属した入間基地との合同チームを提案し、本大会の優勝を目指して来た選手兼監督の河崎健太郎(2曹・秀明英光高出身)は「決勝戦に行ける力がありながら経験不足を露呈して行けなかったのが悔しい。でも、3位での予選免除は大きい。私は転勤が決まっているため、次の大会にこのチームで出場することはないけど、また仕切り直して頑張ってほしい。(チームを引っ張る立場として)最低限の役割は果たせたかなと思う」と自チームの健闘を労った。

 試合は、序盤から空自入間・横田が押し気味に進めた。前半23分に右サイドのFKからFW深井拓人(士長・新潟経営大出身)がヘディングシュートを決めて先制。その後もFKから右MF春本充(2曹・狭山清陵高出身)がヘディングシュートを放つなど攻勢が続いた。前半終了間際には、先制点をアシストしたMF山下健太(士長・秀岳館高出身)が直接FKを鮮やかに決めて追加点。ゆっくりとしたキックで的確に壁を射抜くと、意表を突かれた場内は静まり、山下は「味方にボールを蹴るふりをして走り抜けてもらって、相手の壁が動いたところで、GKから見えにくい壁の選手の顔の間を狙った。入った!と思って喜んだけど、なぜか会場は(盛り上がらず)ちょっと白けている感じでしたね」と苦笑いでゴールの感触を語った。

 後半も空自入間・横田が優位に試合を進めたが、空自美保は選手交代で反撃に出た。GKを務めていた矢部憲一(3曹・新潟大出身)がユニフォームを着替えてFWへポジションチェンジ。矢部にパスを集めていくパワープレーを展開して、試合のペースを引き戻した。後半41分には矢部が粘って前線に残したボールをMF松本勇樹(士長・境港高出身)が狙い、こぼれ球を竹下翔太朗(士長・大社高出身)がシュート。さらに矢部がターンでかわしてシュートを放った場面や松本のロングシュートなどがあったが、ゴールを奪うことはできず、空自入間・横田が2点のリードを守り切って勝利を収めた。

 1得点1アシストの活躍を見せた空自入間・横田のMF山下は、熊本県の秀岳館高で第90回全国高校選手権のベンチ入りを果たしている経歴の持ち主。前回大会が熊本の震災で中止になったことについて「熊本の震災では、お世話になった方たちも被害に遭われて、気持ち的に苦しかった。災害派遣に直接関わる機会はなかったけど、行きたいと思うくらい辛かった」と心を痛めていたが、初参加となった今大会は溌剌としたプレー。「友だちには全国大会に出ると言いふらして来た。優勝しか狙っていなかったが、負けてしまったので、3位決定戦を勝ってメダルをもらって帰ろうと話していた。大会は楽しかったし、任務を頑張って、部隊が許してくれるなら毎年、参加したい」とサッカーができる喜びを示し、優勝への再挑戦に意欲を見せた。

(取材・文 平野貴也)

TOP