beacon

[プレミアリーグWEST]“厄介な”昇格組・米子北が2勝目!まとまり、集中力で神戸弘陵を上回る

このエントリーをはてなブックマークに追加

米子北高が2勝目。決勝点をマークしたFW葉間田累

[4.30 高円宮杯プレミアリーグWEST第4節 神戸弘陵高 0-1 米子北高 三木防災]

 高円宮杯U-18プレミアリーグWESTは30日に第4節を行い、神戸弘陵高(兵庫)と米子北高(鳥取)が対戦。前半33分にFW葉間田累(2年)が決めた1点を守った米子北が1-0で勝利した。

「インターハイや選手権で当たる可能性があるチームなので、絶対に負けられない」。米子北のDF三原貫汰(3年)がそう意気込んだように、高体連同士が激突する今節は、互いに勝ち点3が欲しい重要な一戦。序盤は、「ちょっとくらい不細工でも、リスクを避けるために相手の裏に蹴る」(中村真吾監督)戦法に出た米子北が、主導権を握った。

 ロングボールを蹴り込むことで相手のDFラインが下がったら、今度は右のMF馬場琢未(3年)と左のMF坂田二千翔(3年)がスピードを活かした地上戦を仕掛けてサイドからチャンスを伺った。だが、ゴール前の厚みを欠き、1点が奪えない。

 対する神戸弘陵は、持ち前のパスワークで米子北の守備を崩しにかかった。特に目を惹いたのは右サイドのMF上月翔聖(3年)。ボールを持てば軽やかなドリブルでゴール前に進み、29分には突破からのミドルシュートでゴール左隅を狙ったが、これはGK佐藤壮太(3年)の好セーブに阻まれた。

 両者、見せ場を作りながらも決め手を欠く中、前半のキーマンとなったのは、米子北の2年生FW葉間田だ。試合前日には、中村監督経由で、2年先輩のFW伊藤龍生(現・鹿屋体育大、日本高校選抜)から「頑張れ」というメッセージを貰い、発奮。「FWなのに、この2試合は得点が奪えず、チームに迷惑をかけていたので、今日は絶対に獲ろうと思っていた」との思いも彼の背中を後押しした。狙っていたのは、サイドから送られるボールに対する反応。この2試合は、サイドから見せ場を作るも、「中に入る選手の意識が低かった」(中村監督)ため、決定機を活かせない場面が目立っていたからだ。この日も、28分に右サイドを破ったDF井上朝陽(3年)のクロスを葉間田が合わせられない場面があったが、2度目のチャンスとなった33分に馬場琢のクロスをゴール前で受けると、冷静に決めて、先制に成功した。

 ただ、先手を奪えたことによる難しさもある。プランとしては前半を無失点で終え、後半に勝負をかけるつもりだったため、1点リードで試合の大半を進めるのは「凄く疲れた」(中村監督)。いかに逃げ切るかがテーマとなったここからチームを支えたのは、「高体連相手だと、いつも以上に燃えるし、やらないといけないという気持ちが強くなる」と話す主将のDF三原を中心とした守備陣だ。

 神戸U-18との開幕戦、前節のC大阪U-18戦ともに前半を無失点で終えながらも、後半に集中力を切らしてしまい、不用意な失点から、勝ち点を逃がしてきた。この日も、神戸弘陵がフレッシュな選手を投入し、反撃に出たが、三原を中心に要所をしっかり抑えた。中盤より前の選手もハードワークで守備陣をサポート。三原自身もこれまでの反省を活かし、最後まで味方に声をかけて、チーム全体での集中力を維持して、逃げ切りに成功した。

「前期のうちに2勝できると思わなかったので、かなり大きい」(中村監督)勝利をおさめることができたのは、「相手はまとまりと集中力があった。セカンドボールや身体当てる部分も負けていた」(上月)、「米子北の粘り強い守備に、決定機を作らせてもらえなかった」(谷純一監督)と敵チームが認めるほどの守りがあったからだろう。

「近年で一番苦しいチーム」と城市徳之総監督が評するチーム力ながらも、初めてのプレミアリーグで確かな爪痕を残せており、状態は悪くない。対戦相手にとっては勝星が計算できない、“厄介な”昇格組として今後もWESTをかき回してくれそうだ。

(取材・文 森田将義)
●2017プレミアリーグWEST

TOP