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長崎総科大附出身・東国大ルーキーFW宇高魁人が途中出場でデビュー、「自分の夢はプロになること」

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大学リーグデビューした東京国際大FW宇高

[4.30 第91回関東大学1部L第2節 慶應義塾大0-3東京国際大 夢の島]

 厳しい環境に身を置く覚悟で九州を出てきた。東京国際大のルーキーFW宇高魁人(1年=長崎総合科学大附高)が4月30日に行われた関東大学1部リーグ第2節・慶應義塾大戦で途中出場し、大学リーグデビュー。約15分のプレーでアシストも記録した。

 1月に行われた全国高校選手権で桐光学園高を撃破して注目を集めた長崎総合科学大附高出身の宇高。高校3年時に「自分の夢はプロになること。厳しい環境へ身を置いてやっていけば、夢につながる」と感じ、小嶺忠敏監督へ「九州を出たい」と相談。今春、関東1部リーグへ復帰した東京国際大へ進学した。

 日々の練習から強くアピール。開幕戦でのベンチ入りはならなかったが、この日の第2節ではメンバー入り。心と身体を温めつつ、途中出場のチャンスを待っていた。「ベンチにいる時から出番があればと、ずっと準備していて、もし出ることがあれば、がむしゃらに頑張ろうと思っていました。途中出場なので、とにかく走り回って、ゴールを目指していこうという気持ちでした」。

 そして2-0の後半30分に名前が呼ばれた。1得点1アシストしていたFW進昂平(4年=浦和ユース)に代わり、緊張の面持ちでピッチへ入る。前田秀樹監督からは「球際のところや空中戦のところは競りにいくように」と強く言われた。後半44分には左サイドからの大きなサイドチェンジを頭で落とし、PA内右へ絶妙な抜け出しをみせたが折り返しは相手にカットされた。

 それでも後半終了間際のアディショナルタイム2分、FW町田ブライト(3年=成立学園高)のサイドチェンジをPA右のDF古川雅人(4年=佐賀東高)がはたき、宇高が折り返す。最後はMF池添勘太郎(3年=山梨学院高)が右足シュート。3-0とするゴールが生まれた。約15分の出場だったが、宇高はアシストを記録。デビュー戦を終えた。

 大学サッカーでの一歩目を踏み出したFWは「ゴールは取れなかったですけど、アシストができて、そこは良かったと思います」と言いつつも、「だけど、まだ運動量やシュートの本数だったり、途中出場だから出ている選手の倍以上は走らないといけないと思いました」と反省を口にした。

「高校から大学になって、当たりだったりフィジカル面だったり、寄せの早さが違うなと、やっぱりまだまだと感じました。課題の方が多いです。守備面だったり、ボールを受ける回数だったり、まだ信頼されきっているとはいえないので」

 起用理由について、東京国際大の前田監督は「彼はいいものを持っている。ただ、そんな簡単にいつも使えるわけではない。まだ守備のところや、トップとの関係に課題があるので、これから使って伸ばしたいこうかなというところ。今日は2点リードしていたので、ちょっと使ってみて伸ばそうかなと思いました」と説明。「今日も我々の要求がすごいので、かなりキツかったと思いますよ」と微笑んだ。

 また、幾度も宇高へパスをつないだ東京国際大のエースFW町田ブライトは1年生FWを賞賛。「運動量もあって、柔軟性もある選手。1年生でも全然やれていますし、やりやすい。チームの戦力になると期待しています」とやさしく語った。名将と頼れる先輩たちの下で大切に育てられているようだ。

 宇高の進学にあたっては、長崎総科大附の小嶺監督から前田監督の下へ「こういう性格で真面目だから、ぜひ」「プレイヤーとしても、技術的にもすごいので」という話があったという。期待の“原石”を託された指揮官は「小嶺さんを裏切らないようにしっかりと育てて、またいい選手を送ってもらえるようにしないと」と冗談交じりに話した。

 九州を飛び出し、関東の地で戦う覚悟。「自分はまだまだ。関東に出てきてレベルの高さを知った」と表情を引き締めるFWは「1試合でも多く試合に出られるように、自分をアピールしていきたい。ゴールが一番結果として出るので、わかりやすい。それを貪欲に狙っていきたい」と強く誓う。大学4年間でどのような選手に成長を遂げるか。挑戦は始まった。

(取材・文 片岡涼)

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