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[プリンスリーグ関東]「炎のCB」関川郁万が2ゴールなど攻守で躍動!流経大柏に4-0快勝もたらす

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流通経済大柏高CB関川郁万

[5.7 高円宮杯プリンスリーグ関東第5節 流通経済大柏高 4-0 横浜FCユース 流通経済大柏高]

 3試合ぶりにスタメン出場を果たした流通経済大柏高CB関川郁万が、攻守において存在感を放った。プリンスリーグ関東第5節で横浜FCユースと対戦した流経大柏は、前半10分にMF石川貴登のゴールで幸先よく先制をすると、23分には右CKから関川が渾身のダイビングヘッドを突き刺した。

 さらに35分にMF金澤哲流が加点すると、後半32分にも再び右CKから関川が高い打点のヘッドを沈め、4点目。流経大柏は守っても関川が制空権を握り、GK鹿野修平も4度のビッグセーブを見せるなど横浜FCユースの反撃に対しても最後まで集中力を切らさず、4-0の完封勝利を飾った。

 昨年、U-16日本代表に選出されている注目CB関川にとってこの一戦は燃える要素しか無かった。

 第2節の千葉U-18戦を終えた後、「もう一度、3年生を見直そうと思った」と本田裕一郎監督が語ったように、流経大柏は全学年を分けてチーム強化する方針に切り替えた。1、2、3年生がそれぞれチームを組み、練習もそれぞれに分けて行われた。第3節の前橋育英戦はオール3年生で挑み、関川はスタンドで応援する側に渡った。

「プリンスの中で一番対戦したかったのが前橋育英のFW宮崎鴻選手でした。なので、スタンドから見ていて相当悔しかった」。

 日本人の父とオーストラリア人の母を持ち、185cmの高さと屈強なフィジカルを誇る宮崎は、関川にとって「バチバチのバトルが出来る相手」として、どうしても戦いたかった選手だった。しかし、ピッチにすら立てず、目の前で彼に尽く空中戦とフィジカルコンタクトを制され、劣勢を強いられるチームを見つめなければいけなかった。

 結果は終始押し込まれての0-3の完敗。「自分が彼をマークしていたらどういうプレーをしていたか、ずっと考えながら見ていた」と語ったように、彼の心の中に試合に対する飢えが芽生えた。さらに登録の関係上、2年生チームが出場した県1部リーグにも出場出来ず、プリンスリーグ第4節の山梨学院高戦ではベンチ入りこそ果たすが、投入されたのは残り5分で、しかもFW起用だった。

「もう試合がやりたくて、やりたくて。今日、ようやくCBでスタメン出場することが出来たので、もうその想いをすべてぶつけることが出来た」。

 横浜FCユース戦は開始5分に相手のロングボールを高い打点のヘッドで弾き返すと、「このプレーで乗ることが出来た」と語ったように、守備では圧倒的な高さと対人の強さを見せつけ、攻撃ではセットプレーから貪欲にゴールを狙った。

 23分のゴールは、「いつもはファーに飛ぶのですが、ゴール前が空いていたので飛び込んだ」と、DF近藤立都のゴール前に落とすCKを、猛然とダッシュで突っ込んでドンピシャのダイビングヘッドを突き刺した。後半32分のゴールは、逆に中に行くと見せかけて、ファーへ流れて、頭一つ抜け出してヘッドで合わせた。守っては横浜FCユースの猛攻の際にも常に危険なゾーンに目を光らせ、自身の2点目の直前には横浜FCユースMF三木結斗の浮き球のスルーパスにMF白川浩人が抜け出すが、鋭いカバーリングで白川の突破を阻んだ。

「2年生ですが、プロになるにはこの1年が凄く重要になって来る。試合に出ることはもちろん、結果を出して行かないと評価されなくなりますから」。

 プロ入りという明確な目標があるからこそ、下級生であるという甘えは一切無い。だからこそ、試合に出られない時間が枯渇感と危機感を生み出し、この一戦で強烈な自己主張となって現れた。

「実は…もう一つ燃えた理由があるんです。昨日の試合で駿介が点を獲ったんです。だから僕も獲らないといけないと思ったんです」。

 6日に行われた桐光学園高VS三菱養和SCユースの一戦で、FC多摩ジュニアユースでCBコンビを組んだ桐光学園CB望月駿介がゴールを決めた。同い年のライバルの活躍もまた、彼の心に火を点けたのであった。

 様々な要素を自分の燃料として、モチベーションに火を点ける「炎のCB」関川郁万。彼の闘争心はいつでも熱く燃え盛る。それをこの一戦で証明してみせた。

(取材・文 安藤隆人)
●2017 プリンスリーグ関東

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