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202日ぶり黒星、筑波大DF鈴木大誠「自分はジャメにぶっちぎられるし、単純にそういうこと」

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試合終了のホイッスル、悔しさ見せるDF鈴木大誠

[5.6 第91回関東大学1部L 流通経済大3-1筑波大 たつのこ]

 悔しさを滲ませるというよりも、さばさばとした表情だった。筑波大は6日に行われた関東大学リーグ第4節・流通経済大戦で1-3の敗戦。退場者を出して数的不利な状況下、“茨城ダービー”で黒星を喫した。昨冬の全日本大学選手権から公式戦10連勝中の筑波大だったが、昨年10月16日に行われた関東大学リーグ第18節・順天堂大戦(0-1)以来となる202日ぶりの黒星を喫した。

 試合後、筑波大のCB鈴木大誠(3年=星稜高)は「負けるべくして負けました。どこかで負けるやろうなとは思っていて、こんな感じで負けて。流通経済大というライバル相手というのもあり、ショックは大きいですけど、今の自分はこんなものだろうと。力がないというのもわかったし、一人少なくなったら、自分はジャメ(ジャーメイン)にもぶっちぎられるし、単純にそういうことです」と結果を受け入れた。

 前半終了間際にDF小笠原佳祐(3年=東福岡高)との競り合いから獲得したPKをFWジャーメイン良(4年=流通経済大柏高)に決められ、1点を追う展開となった。さらに後半開始3分にはMF三笘薫(2年=川崎F U-18)が二枚目の警告を受けて退場。数的不利に追い込まれた。この時点で「相手が前を狙うのをやめて、横につないできたのでプレスをかければ、残り5分までに1-1に持っていける」と感じていた鈴木大だったが、この思いが裏目に出た。

 後半13分にカウンターから2失点目を喫し、後半37分には3失点目。ハーフウェーライン付近でこぼれたボール。前のめりになった鈴木大が落下点を見誤り、ジャーメインにかっさらわれた。圧巻のスピードで一瞬にして置き去りにされ、左足シュートを決められた。筑波のCBは「単純にボールの落下点を見誤りました。先にボールに触られた瞬間に“あぁ、終わった”と思いました。仕方ないです」と唇を噛む。

 悔しさもあるようだが「前からプレスをかけたら残り5分までには1-1にできるという頭があって、それで見誤ってやられたので。あそこがジャメの凄さなんやろうなと思いながら、ショックでしたけど、自分のなかでは納得できるやられ方でした」と自らに言い聞かせるように話した。

 試合前には「ジャーメインだったら、全日本にも選ばれているし、今日も楽しみ」と思っていたというが、悔しい結果。「自分がボールへの反応が悪くって、ジャメにやられて。ジャメがスピードあるのはわかってる。でも自分がゴール側から守れていないという事実があるし、“あぁ、自分は力ないな”という感じです」と肩を落とす。

 とはいえ、日本一に輝いた昨冬の全日本大学選手権(インカレ)などを経て、大学3年目となった今、見える景色は変化してきた。大学2年までは「プロに入りたい」という一心でやってきたが、今では「プロ1年目から活躍できる選手になりたい」と考えるようになったという。「目指す目標はちょっと上にあがりました」と笑顔をみせる。

 またこの日は判定に泣かされるシーンも多かったが、鈴木大は「自分たちの経験のなかにそういう経験がなかった。気持ちを相手に持っていけなかった自分がいた」と自身へ矢印を向けた。この内省的な姿勢が鈴木大の成長を支えているに違いない。

 屈辱を味わった“茨城ダービー”。リベンジを誓うCBは「この悔しさを巻き返すのは、後期リーグの流通経済大戦でしか無理。もう一回、ジャメと対峙しないと無理」と言い、「それまでに自分たちは優勝争いを続けないといけない。自分たちは、ずっと勝ち続けることができる集団だとは思っていない。天皇杯の3連勝もリーグの3連勝も奇跡に近い部分がある。本当に強いチームというよりも、自分のなかで上手くいってない部分があるとも理解しているので、来週勝てるかもわからない。もっとこれ以上に強くならないといけない」と力を込めた。

(取材・文 片岡涼)

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